2019 Fiscal Year Research-status Report
微小重力環境下における流体や粉粒体との相互作用の理解
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18KK0108
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
大槻 真嗣 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50348827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 満久 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (10773715)
澤田 弘崇 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 研究開発員 (70392842)
加藤 裕基 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究開発員 (70538587)
佐藤 泰貴 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70726760)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | 微小重力環境 / スロッシング / 粉粒体 / テラメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
日本が世界に先駆けている小惑星からのサンプルリターンでは,はやぶさに代表される瞬間のタッチ&ゴー方式から,安全な長時間滞在へ向けたより高度な技術開発が求められている.本研究では,小惑星への安全な長期滞在を実現することを目指し,落下棟を利用した微小重力実験で粉粒体/流体と機械の相互作用に関する基本データを取得し,探査機に影響する卓越した作用力を力(反力)の観点で単純化したモデルを獲得することを目的としている.基本データ取得のためには外乱が少なく重力品質の良い微小重力実験を行うことが必須であり,それを日本国内で行うことは現在できないため,海外機関(DLR)と協力の下,ドイツの落下棟施設(ZARM)を利用する.本年度,ZARMで計10回の落下試験を行った.3回は着陸パッドのような円盤が硅砂8号に約0.5m/sで垂直に衝突した場合,4回は微小重力天体からレゴリスを採取する機構の一つである筒状のコアラー機構を5m/s程度で同じく粉粒体へ貫入させた場合である.これらにより,反力推定モデルの応答評価を行うためのデータを得ただけでなく,レゴリスが予想よりもはるかに飛散する様子を観測することができ,低重力環境にあるレゴリス挙動の再考を必要とする結果を得ることができた.残りの3回はベアタンクを模擬した容器に液体を封入し,着陸機を想定した速度変化を加えた動作を容器にさせ,スロッシング荷重の計測とCFD検証に用いる応答結果を取得した.このように,世界最長の落下時間を実現する落下塔施設の利用により,過去には観測されたことがないであろう粉粒体や流体の挙動を確認でき,この成果は探査機設計への効果的な反映がなされるだけでなく,学術的にも価値が高いと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外の落下塔施設を利用した実験を行うことができ,想定どおり進めることができている.
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Strategy for Future Research Activity |
落下塔実験の結果を答えとして,それと結果が合致する数値モデルの構築,DEM,SPH,CFDシミュレーションの実現を図る.まず,レゴリス種類やコアラー機構の射出速度などに対して様々な条件での落下試験を実施し,SPHシミュレーションとのコリレーションを行うことでレゴリスモデル化の精度を向上させるとともに,それを一般化し,モデル化のための指針を構築する.次に,結果とよく合うCFDの結果から妥当性を得た簡便さと汎用さを兼ね備えたスロッシング縮退モデルと,そのパラメータ決定の方法論の構築を進める.
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Causes of Carryover |
実験装置の改修を年度内に行えないため繰り越しを行う.
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Research Products
(6 results)