2018 Fiscal Year Research-status Report
ホイスラー型新機能スピントロニクス材料の薄膜実証とその応用
Project/Area Number |
18KK0111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜屋 宏平 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90401281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 晋也 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30725049)
山田 道洋 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(SPD) (50778529)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | ホイスラー合金 / スピントロニクス / 分子線エピタキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者と分担者らが開発してきた低温分子線エピタキしー技術による半導体スピントロニクス用規則合金材料の結晶合成技術を高度化し、近年理論提案されたスピンギャップレス半導体やトポロジカル半金属といった特徴的な電子構造を有する新機能スピントロニクス材料を『薄膜』として実証することで、新しい超高速・低消費電力スピントロニクス素子応用への道を開拓する。
今年度は、スピンギャップレス半導体と予想されているMn2CoAl、CoFeVSiの薄膜合成とそれらの電気・磁気伝導特性について検討した。研究代表者らが開発した非化学量論組成蒸着法用いることで、精密に化学量論組成比に制御されたMn2CoAlおよびCoFeVSiの薄膜合成に成功した。また、協力研究をさせていただいている研究機関の分析により、Mn2CoAlにおいては世界最高レベルの規則構造を実現していることが判明しつつある。さらに、磁気伝導特性からは、Mn2CoAlのバンド構造に起因した特徴的な物性変化を観測した。さらに、薄膜の作製条件を突き詰めていき、これまで報告事例のない低温で単結晶成長することに最近成功し始めている。一方、CoFeVSiにおいては、これまでバルク材料の合成例すらなかったが、今回、世界で初めての材料合成に成功し、その物性(電気・磁気伝導特性など)を詳細に明らかにした。非常に興味深いことに、磁性体であるにもかかわらず正の線形磁気抵抗が観測され、磁気伝導特性・理論計算からその起源を考察し、スピンギャップ半導体の薄膜実証を証明する上で重要な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スピンギャップレス半導体と予測されているMn2CoAl、CoFeVSiの薄膜合成法を確立し、構造評価・磁気伝導特性評価・理論計算による考察から、スピンギャップ半導体の薄膜実証を証明する方法論に関して重要なポイントを明らかにすることができた。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に国際共同として英国ヨーク大学に大学院生を派遣して、我々が作製した薄膜を詳細に構造評価する。その解析結果を薄膜作製条件にフィードバックし、薄膜の結晶品質を理想系へと高めていく。同時に、薄膜の磁気伝導特性などを詳細に調べ、結晶構造中の原子配列の精密制御と電気・磁気伝導特性の相関を明確にしていく。また、トポロジカル半金属と予想されているホイスラー合金(Ti2MnAlなど)の薄膜合成にも着手する。
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Causes of Carryover |
学内の低温センターの保守点検により寒剤の供給が一定期間停止したため、寒剤費が当初の予定よりもわずかに少なかった。次年度に停止期間分の実験を補うために使用する。
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Research Products
(7 results)