2022 Fiscal Year Research-status Report
How to adopt the countermeasures to avoid future risks accompanying the progress of global warming
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18KK0123
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鳴海 大典 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (80314368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺輪 貴史 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (50361796)
井原 智彦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (30392591)
川久保 俊 法政大学, デザイン工学部, 教授 (50599389)
大塚 彩美 東京家政大学, 家政学部, 特任講師 (80830603)
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Project Period (FY) |
2019-02-07 – 2024-03-31
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Keywords | ヒートアイランド現象 / 暑熱リスク / シナリオ設計 / 費用便益分析 / 地域特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱ガイドラインの現状調査に関連して,鳴海は北米で実施されたアンケート調査を参考として,日本国内の各都市における対策計画の施行に関する現状をヒアリングやアンケートにより調査するとともに,北米と日本の相違について分析を深めた.また,大塚はオーストラリア各州の州都10都市を対象に自治体の取り組みについての事前調査を開始した.また,浅輪は気候特性や社会的背景の異なる日本,フランス,インドネシアの三か国を対象に大規模なWEBアンケート調査を実施し,各国の住民の選好からみた住宅の最適な暑熱緩和手法に関して明らかにした. 暑熱リスク対策の導入効果の事例評価に関連して,鳴海は北米三都市(ロサンゼルス,フェニックス,シカゴ)を対象として,暑熱対策の導入による気温変化をWRF モデルにより評価するとともに,気温変化に伴う間接的なエネルギー消費量の変化をエネルギー消費に関する気温感応度を用いて評価するとともに,直接的なエネルギー消費量の変化をEnergyPlusにより評価した.また,日本の大阪府や岡山県で得られた結果と比較することで,対策導入効果に関する地域特性を評価した.井原は過去に実施した睡眠に関する疫学調査を再解析し,気温と睡眠障害の関係を定量化した.そして,熱中症などの被害と比較可能なように,睡眠障害の被害量を障害調整生存年に換算した.また,課題内でこれまで実施してきた暑熱対策の調査をデリーで実施すべく,調査票の整理を実施した.川久保は世界主要都市の中でも過去100年間の気温上昇幅の大きい東京都心部のヒートアイランド抑制対策の検討に向けて,都心部で取得した赤外画像の解析を行った.深層学習を応用した結果,都心部で高温となりやすい域の抽出に至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界各国を対象とした暑熱ガイドラインの現状調査に関しては,この3年間,COVID-19の世界的なパンデミックにより各構成員が連携,協力関係にある研究機関とのコミュニケーションが滞り,十分に調査を行なうことができていない現状の中で,本年度は北米やフランス,インドネシアとの連携を図ることができた.次年度は引き続きこの輪をさらに拡大し,当初想定していたマレーシアやインド,さらには豪州を対象として連携関係を再構築し,ガイドラインの現状調査や市民意識の相違に関するアンケート調査などを実施していきたいと考えている.以上の理由から「やや遅れている」と評価される. 暑熱リスク対策の導入効果の事例評価に関しては,鳴海は北米三都市を対象として暑熱対策導入効果を評価するとともに,日本の各都市で得られた結果と比較することで,対策導入効果に関する地域特性を評価した.井原はこれまで実施してきた暑熱対策調査をデリーで実施すべく調査票の整理を実施した.しかしながら,各構成員の事例評価については,まだ「暑熱リスク軽減策のガイドライン」検討に資する成果を十分に得た状況とは言い難いため,引き続き各構成員による各国の分析を続ける必要がある.以上の理由から「やや遅れている」と評価される. 以上を総合して,現在までの進捗状況としては「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度になることから,本年度に引き続き,各構成員が世界各国を対象とした暑熱ガイドラインの現状調査を行なうとともに,暑熱リスク対策の導入効果を事例的に評価し,最終的に得られた成果を基にして「暑熱リスク軽減策のガイドライン」の検討までを行なう予定である. この3年間,COVID-19の世界的なパンデミックにより各構成員が連携,協力関係にある研究機関とのコミュニケーションが滞る現状において,次年度は国際的な往来も平時に近い状況となることが期待されることから,積極的に関係機関との現地交流を再開することで,可能な限りの遅れを取り戻したいと考えている.この点に関して,豪州を担当する大塚は研究の残余期間に鑑み,アンケート調査への切り替えを念頭に,オーストラリア各州の州都10都市を対象に自治体の取り組みについての事前調査を開始ししており,事前調査結果に基づいて,共同研究者のアドバイスも仰ぎながら,今後の調査設計や対象都市の絞り込みを行う予定である. なお,本研究課題では米国LBNLとの協働により「暑熱リスク軽減に関するワークショップ開催」を目指していたが,COVID-19のパンデミック以降は日本のみならず,世界各国の研究交流が滞っており,研究の残余期間を鑑みると,当初想定していた関係機関が一堂に会する現地での交流イベント開催は困難な状況にある.したがって,引き続き各関係機関と個別での現地もしくはオンラインによる情報交換を進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
本研究課題は追加採択によるものであり,初年度の研究活動の開始が2月上旬と年度内の研究期間が非常に限られていたため,初年度から大幅に当初の想定から遅れを生じた.また,この3年間,COVID-19の世界的なパンデミックにより各構成員が連携,協力関係にある研究機関とのコミュニケーションが滞り,特に現地との国際的な往来が難しい状況にあったため,主に各国関係機関までの旅費の支出が滞り,次年度使用額を生じることとなった.次年度は国際的な往来も平時に近い状況となることが期待されることから,積極的に関係機関との現地交流を再開することで,可能な限りの遅れを取り戻したいと考えている.
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Research Products
(24 results)