2019 Fiscal Year Research-status Report
ゼオライトナノ空間内の触媒活性点の位置制御による高効率資源変換プロセスの構築
Project/Area Number |
18KK0136
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 俊之 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00401125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中坂 佑太 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30629548)
茂木 堯彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30794515)
津野地 直 広島大学, 工学研究科, 助教 (40758166)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | ゼオライト |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ空間が高度に制御された結晶性多孔質材料であるゼオライトの「触媒能」はシリカ骨格に導入されたヘテロ原子の種類ならびにその導入量により依存する。本研究では新たに“ゼオライト細孔内における「ヘテロ原子の位置」”に着目した。本研究の目的は、ゼオライト細孔内におけるヘテロ原子の位置を特定する構造解析手法の開発、ゼオライト細孔内におけるヘテロ原子の位置を制御する調製手法の開発、ヘテロ原子の位置制御によるゼオライトの触媒性能の劇的な向上である。構造解析分野ではこの分野で世界をリードしているDr. Ute Kolbとの共同研究により達成する。 2019年度において、研究代表者 横井俊之(東京工業大学)では、Al分布が異なるCHAゼオライト(Si/Al = 10―15)を調製し、構造解析、MTO反応評価を実施した。津野地 直(広島大学)では、ゼオライト転換法によりAl含有量の異なるCHAゼオライト(Si/Al = 10―60)の調製に成功した。この他、構造の影響評価用にLEV、AEI、AFX型のゼオライトを合成した。茂木 堯彦(東京大学)では、メタノール転換反応における同位体過渡応答評価を実施する上での予備検討を実施し、評価条件を決定することができ、2020年度において、横井、津野地グループが調製したサンプルを用い実際に評価を行っていく。中坂 佑太(北海道大学)では、Al含有量の少ないCHAゼオライト(Si/Al = 60)における、MTO条件での速度解析を実施した。また、Dr. Ute Kolb氏と今後の研究計画についてディスカッションを実施し、2020年度、こちらの調製したサンプルの構造解析を実施していくことで合意している。これまで得られたデータを体系化し、ゼオライトナノ空間内の触媒活性点の位置制御による高効率資源変換プロセスの構築につなげていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、ゼオライト調製手法の開発、反応評価方法、解析方法含め、各グループとも概ね順調に研究を遂行した。特に調製面では2019年度はCHA型ゼオライト以外にもAEI型、AFX型の調製手法を確立し、構造依存性の検討に向けた準備をすることができた。共同研究相手であるDr. Ute Kolb氏とは今後の研究計画についてディスカッションを実施し、2021年1月頃にこちらの調製したサンプルの構造解析を実施していくことで合意している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者である横井俊之(東京工業大学)は、2019年度までの骨格内Al原子の位置制御の成果を踏まえ、2020年度においてMFI型骨格内のヘテロ原子の位置を制御したゼオライト触媒の開発に取り組む。また、ゼオライト構造の多様化として、AEI型、MOR型、FER型へと展開する。酸触媒反応における活性点位置と細孔構造、触媒性能の関係解明に取り組む。津野地直(広島大学)は、ゼオライト転換法による触媒活性点の位置制御手法の開発に取り組む。2019年度に引き続き、原料であるゼオライトのAl分布に注目し、原料がターゲットとするゼオライトの物性に与える影響に注力する。茂木堯彦 (東京大学)は、各グループで調製されたゼオライト触媒の性能評価として2020年度、新たにMTO反応における過渡応答評価を実施する。過渡応答評価により反応機構解析を進め、触媒活性点の位置が反応機構に及ぼす影響を解明し、触媒性能の向上につなげる。中坂佑太(北海道大学)は、2019年度に引き続き、反応速度論、結晶内拡散挙動に基づく活性点位置の設計、評方法の開発に取りくむ。触媒活性点の位置の異なるゼオライト結晶内における反応基質分子の拡散係数を測定し、反応速度と拡散速度に基づく反応工学的な解析による活性点位置設計・評価を行い、横井、津野地グループにフィードバックする。これらに加え、Dr. Ute Kolb(海外の共同研究者、Johannes Gutenberg-University Mainz)は、TEM及び電子線トモグラフィー法によるゼオライト細孔 触媒活性点の可視化による触媒材料の3次元解析を実施する。2021年1月(仮)にDr. Ute Kolb氏の研究室にて短期在し、横井グループ、津野地グループが作成したゼオライトに対して、構造解析実 (TEM観察、X線結晶構造解析)を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で2020年3月に予定していた海外出張がキャンセルになったため。改めて2020年度に実施予定である。
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Research Products
(12 results)