2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of solar cell architectures using quantum nanostructures for fundamentally increasing the power conversion efficiency
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18KK0145
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
喜多 隆 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10221186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 幸弘 神戸大学, 工学研究科, 助教 (10554355)
朝日 重雄 神戸大学, 工学研究科, 特命助教 (60782729)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 量子ナノ構造 / 量子ドット / アップコンバージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的な単接合太陽電池の変換効率は透過損失や熱損失などによって非集光時では約30%が限界であることが知られている。われわれは、量子ナノ構造を利用して透過損失や熱損失を低減させ、根本原理に基づき変換効率を向上させる研究に取り組んでいる。特に、半導体ヘテロ界面に量子ドットを挿入した量子ナノ構造において世界最高効率の2段階光励起を実現し、太陽電池が吸収する太陽光スペクトル領域を拡大することに成功した。本国際共同研究では、太陽電池研究において世界最高峰のニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)と共同して研究を実施し、若手研究者を派遣して量子ナノ構造における2段階光励起過程を定量的に明らかにする。また、光吸収率等得られるデータに基づいて太陽電池構造の最適設計を実施することにより、従来の限界を突破する高効率化を実現する。 研究は3つのテーマで推進し、それぞれのテーマでは成果を交換するとともに、テーマ間では成果を利用した。本年度は、具体的に以下のように研究を実施した。 (1)デバイスシミュレータを用いてAlGaAs/InAs QD/GaAsヘテロ構造を真性層に内包するp-n構造の最適設計を行い、実績がある分子線エピタキシー技術を用いて太陽電池構造を作製した。 (2)作製した新型太陽電池に対して、朝日が2019年7月に1か月UNSWに滞在して、光電流特性、吸収端構造、再結合特性などを詳細に評価してくるとともに、ヘテロ界面電子濃度に依存すると予想されるバンド内光学遷移の吸収率を定量的に明らかにした。 (3)これらの成果をもとに太陽電池構造の設計を行い、デバイス特性のシミュレーションを実施して太陽電池出力特性を予測し、最適構造を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)に若手研究者(朝日)を派遣して量子ナノ構造における2段階光励起過程を定量的に評価した結果、予想していなかった正孔キャリアの影響や高密度キャリアによるプラズモニック効果についても新しい知見を得ることができた。ニューサウスウェールズ大学で予定していた超高速分光については計測システムの立ち上げまで完了しているので、2020年度は再度朝日が訪問して評価を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本国際共同研究では、InAs量子ドット(QD)を内包するヘテロ界面を利用した高効率なアップコンバージョンを実現し、変換効率理論の新しい根本原理に基づいてこれまでの太陽電池の変換効率限界を突破するため、UNSWと共同でアップコンバージョンの学理と高効率化技術を共同開発する。これまで実施してきた3つのテーマを引き続き推進し、それぞれのテーマでは成果を交換するとともに、テーマ間では成果を利用していく。今後は以下のように研究を推進する。 (1)バンド内励起されたキャリアを効率よく引き出すため変調ドープAlGaAs/InAs QD/GaAsヘテロ構造を真性層に内包するp-n構造の最適設計を行い、分子線エピタキシー技術を用いて太陽電池構造を作製する。 (2)作製した新型太陽電池を研究分担者・朝日がUNSWにおいて超高速過渡光吸収分光研究を実施し、ヘテロ界面電子濃度に依存すると予想されるバンド内光学遷移の吸収率を定量的に明らかにする。また、ヘテロ界面高密度電子の自由電子プラズマ効果を取り入れたバンド内光学遷移理論計算を実施する。 (3)最適化した太陽電池セルを試作し、アップコンバージョン太陽電池について光電流スペクトルや時間分解光電流特性を詳しく調べ、動作原理実証と基礎特性を明らかにする。また、光集光下での特性変化を詳細に調べ上げ、アップコンバージョン太陽電池の特徴を実証する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症拡大防止に伴う共同研究先のUNSWへの海外渡航中止によって次年度使用額が生じた。2020年度に渡航期間を変更して対応するため、計画に変更はない。
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Research Products
(14 results)