2018 Fiscal Year Research-status Report
Developing practical techniques of retrospective dosimetry for affected individuals in radiological emergencies
Project/Area Number |
18KK0147
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
保田 浩志 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (50250121)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 誠子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (50816345)
安倍 学 広島大学, 理学研究科, 教授 (30273577)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
|
Keywords | 放射線 / 線量評価 / 遡及的 / ルミネセンス / 電子スピン共鳴 / 緊急時 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では,年代測定等の研究分野で用いられている最先端の測定技術・ノウハウを活用し,生物学的な線量評価に比べてより迅速かつ高精度に個人の被ばくレベルと被ばく状況(入射方向,線質、部位等)を把握する実用的な線量評価法を、世界に先駆けて開発し社会実装することに取り組んでいる。具体的には、被ばくした人から採取した生体試料(爪、髪、歯のエナメル質等)についての放射線応答から直接的に人体が受けた被ばくレベルを推定すると共に、生体試料に比べて高感度でバックグランドが低く試料による応答の差異が比較的少ない化学的に安定した素材(携帯電話の部品、アクセサリ、衣類等)を複合的に用いて,それらの試料に含まれるラジカル量あるいはその量に相関する信号(電子スピン共鳴吸収ESR、光刺激蛍光OSL、熱刺激蛍光TL等)を測定する。それらのデータを総合的に解析することにより,被ばくの状況と人体各部位が受けた線量を精緻に再現する方法を開発し、実用的なプロトコルを提示する。 本研究は順調に進捗しており、初年度となる2018年度には、研究代表者と若手研究者である研究分担者が本共同研究の相手方であるオーストリア国・ザルツブルグ大学のグループを訪問し、同グループが有する高性能のラジカル測定技術や先端的な試料処理設備を見学し使用スケジュールの調整を測るとともに、具体的な研究実施計画の策定に取り組んだ。相手方が有する最先端の測定装置・解析技術についても、持参した試料の一部を実際に測定させてもらい、機器の性能や留意点を確認するとともに、一連の作業手順を修得した。次年度(2019年度)には相手方の施設に一ヶ月近く滞在して放射線由来のOSL/TL測定を行い、各手法の線量評価精度についての考察を経て、画期的で実用的な線遡及的量評価法の開発・実用化に取り組む。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたとおり、先方の施設を訪れて、想定していたとおり先方が保有する最先端の実験機器を使用して一部の試料を測定することができた。また、当該科研費事業として、今後4年間にわたり密な共同研究を実施していくことについて先方の合意を得ることができ、次年度以後に実施する研究の計画について議論・立案し、スムーズに研究を実施する目途が立った。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度(2019年度)には、日本側が有する放射線照射装置で一定量の放射線を照射した試料を若手研究者(廣田)が相手方に持参し、相手方が有する最先端の測定装置・解析技術を十分に修得するとともに、約一ヶ月間相手方の施設に滞在して持参した試料および相手方との比較較正に有用な現地の試料を用いて放射線由来のOSL/TL測定等を行う。そして、それらのデータから推定した線量値と日本側で測定・取得したESR信号の測定データに基づく線量値との比較を行い、各手法の遡及的線量評価の精度について考察し、その成果を論文にまとめて投稿する。
|
Causes of Carryover |
相手方の研究者を当該年度(2018年度)内に当該科研費事業の経費により招聘することを計画していたが、先方の事情により次年度(2019年度)に延期することになり、そのため次年度使用額の増が生じた。
|
Research Products
(4 results)