2021 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム南部における食中毒原因菌の薬剤耐性化に関する調査研究
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18KK0168
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 達哉 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (80552158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 詩織 国立医薬品食品衛生研究所, 食品衛生管理部, 任期付研究員 (40795291)
陳内 理生 神奈川県衛生研究所, 微生物部, 主任研究員 (70622752)
山口 貴弘 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (80553635)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | ESBL産生菌 / カルバペネマーゼ産生菌 / mcr保有コリスチン耐性菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度において、当初予定していたベトナムでの研究活動は新型コロナウイルス感染症拡大のために、すべて中止することとなった。その代わり、2020年にベトナムより持ち帰った水産食品から分離された菌株の解析およびMTA締結後に日本に持ち帰ったベトナム産鶏肉由来菌株を解析し、論文作成を行った。 2020年度、研究実績に記載したベトナム産鶏肉から分離されたセレウス菌に関しては、データをまとめ国際誌へ投稿し論文が受理された。 また、ベトナム産水産食品からカルバペネム耐性腸内細菌科菌群の分離を行った。その結果、カルバペネム耐性遺伝子NDMを保有する大腸菌およびCitrobacter、OXA-48を保有する肺炎桿菌およびProteus、KPCを保有する肺炎桿菌が分離された。水産食品におけるカルバペネム耐性菌の実態報告は皆無であることから、本結果は重要な知見である。この結果に関するデータは2021年秋に論文として受理され公表された。 さらに、MTA締結により持ち帰ったベトナム産鶏肉由来薬剤耐性菌株の解析を行った。その結果、鶏肉由来ESBL産生大腸菌のCTX-Mを同定した結果、多くがCTX-M-55であり、次いでCTX-M-65が多いことが判明した。また、これらCTX-Mの多くがTEMとともに保有されていることが判明した。一方でカルバペネムおよびコリスチン耐性大腸菌の分離を行った。カルバペネム耐性大腸菌は検出されなかったがコリスチン耐性大腸菌は検出され、その多くがmcr-1遺伝子保有コリスチン耐性大腸菌であった。耐性菌汚染度が高いとされている鶏肉におけるCTX-Mおよびmcr遺伝子の汚染割合を明確にしている報告は、今までになく、本結果は今後薬剤耐性モニタリングにおいて重要な指標になると考えられる。この結果に関するデータは国際誌に論文投稿し、2021年12月に受理され公表されるに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナム渡航が叶わず、現地での研究活動が出来なかったが、これまで分離した菌株の解析およびデータをまとめることができ、2021年度に3報の国際誌への論文発表へとつながった。それゆえに、計画は大幅に変更はしているものの、当初予定した研究結果は得られていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の新型コロナウイルスの状況次第であるが、ベトナム渡航が可能あれば、8月にベトナムでの活動を行う予定である。また、2020年3月に持ち帰った水産食品より分離したアエロモナス、ビブリオさらにESBL産生菌、また、サルモネラについてのデータ解析も行っており、すべてのデータが揃い次第、論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の大流行により、ベトナム渡航ができなかったため、計画通りの予算執行ができなかった。ベトナム渡航が可能になれば、渡航費、現地活動費として執行する予定である。もし、渡航ができない場合、ゲノム解析費用として執行する予定である。
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