2019 Fiscal Year Research-status Report
半乾燥熱帯アフリカ畑作地における持続可能な集約化のための混作技術革新
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18KK0185
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
杉原 創 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任准教授 (30594238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40379285)
柴田 誠 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40799607)
伊ヶ崎 健大 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (70582021)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 混作 / リン循環 / 持続可能性 / 根粒菌 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
飢餓人口が未だ増加し続ける半乾燥熱帯アフリカにおいて、食料安全保障の実現は喫緊の課題である。本研究では、土壌リン欠乏を改善し持続的に増産するために、当地で伝統的かつ粗放に行われてきたマメ科と主作物との混作技術革新に必要な知見を集積する。具体的にはタンザニア最大の国立農科大であるソコイネ農業大学と国際共同研究を行い、①マメ科と主作物の根圏共有は土壌―作物間のリン循環および作物収量を改善するか?②有用な根粒菌の接種はマメ科が持つ難溶性リン可給化能を向上するか?③根圏共有型混作と根粒菌接種の導入はリン鉱石を可溶化し肥効を改善するか?を現地試験で検証し、アフリカでの「持続可能な集約化」を実現する混作技術革新を目指す。 研究2年目の今年は、半乾燥熱帯アフリカの典型的な気候・土壌環境を有するタンザニアにおいて、現地の相手先研究機関であるソコイネ農業大学の共同研究者とともに下記の活動を実施した。課題①根圏共有が難溶性リン可給化に与える影響の解明、を実施するために、昨年度に相手先研究機関と共同で実施したポット栽培試験(根圏を共有する区としない区とを設けた特殊なポットを作成し、トウモロコシやマメ科2種を用いて約2か月栽培し、根圏・非根圏土壌の試料および各作物の植物体試料を採取)の分析をおこない、マメ科作物種ごとに根圏共有の効果は大きく異なること、キマメとトウモロコシを混作(根圏共有)することにより、リンの施肥効率が改善されることなどを明らかにした。また、課題②として現地の有用マメ科作物を対象とした有用根粒菌の探索・単離を現地で実施するために、共同研究者を日本へ招へいし必要な技術を習得してもらったのち、合同現地調査を行いマメ科作物(とくにキマメ)の根粒試料を複数地点から採取し、有用根粒菌の単離にむけた現地ポット試験を実施(継続中)した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、混作(根圏共有)の効果を検討するためのポット試験の解析を終え、キマメが混作に有望な作物種であることを確認できた。加えて、有用な根粒菌を現地で単離するために必要な、現地共同研究者の技術習得(@日本)を無事に終え、その後現地で試料も採取できたことから、(2)おおむね順調に進展している、といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、COVID-19の影響で海外調査が極めて困難になっている。 加えて、現地共同研究者に実施を依頼している、有用根粒菌の単離のための栽培試験も、日本と同様に極めて制限された条件下で実施しており、その成否に関しては万全の確証ができない。このような極めて難しい状況を鑑み、状況に応じて、柔軟に研究計画を対応させていく。具体的には、海外調査が実施できない場合の次善策として、類似の土壌理化学性を有する国内土壌を用いて、日本国内の温度調整が可能な温室内にてポット試験を実施することも検討する。 また、現在進行中の、現地土壌からの有用根粒菌の単離作業は、現地共同研究者と協力して進める一方で、既存の世界的なデータバンクを活用し、キマメの一般的な根粒菌を取り寄せることで試料確保を優先し、それらの接種効果の検証も含めた実験計画の変更も状況に応じて行う。
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Causes of Carryover |
次年度に実施を計画しているタンザニアでの栽培実験および根粒菌の選抜・単離を遂行するにあたり、現地調査を万全の状況で実施するために必要な金額として、次年度に繰り越した。この結果、今年度の研究費は切迫することになったが、異なる財源を用いてカバーした。
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