2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on Rice Revolution in Kebbi State, Nigeria, through Sawah Technology
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18KK0186
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
若月 利之 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (50127156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 周祐 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (00634221)
渡邊 芳倫 福島大学, 農学系教育研究組織設置準備室, 准教授 (30548855)
林 昌平 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (20725593)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | アフリカ水田農法 / アフリカの水田進化 / 水田仮説 / 水田農業とアフリカの緑の革命 / Kebbi Rice Revolution / Sawah Technology / Sawah Hypothesis |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年1月―2月、若月はナイジェリア国立農業機械化センター(NCAM)の協力の下で、Kebbi、Niger、Kanoで予備調査を実施した。又、NCAMのKasali所長とAdemiluyi副所長とともにAbujaの日本国大使館を訪問し梅津臨時代理大使等6名と意見交換を行い、本科研への支援を依頼した。 本科研の第一歩は、Google Earth画像により推定された、ナイジェリアKebbi州の氾濫原(総面積約50万ha)で2010-2019年で、農民の自力水田開発や整備が数万ha以上の規模で実現したことを、現地調査と農民へのヒヤリングで確認することにある。ただこの地域は外務省の渡航情報第3レベル(渡航中止勧告)なので、日本人による直接の現地確認は断念した。本予備調査では安全を確保しながら、現地調査を実施する方法を見出ことを目的とした。 幸いNCAMチームはKebbi州全域(ナイジェリアの大部分の他州も含む)で、農業農村開発省(FMARD)の業務として水田農業の普及活動を実施中であるので、現地確認はこのNCAMチームに依頼した。NCAM現地調査隊(リーダーAdemiluyi)のスマートフォンの位置情報を、NCAM本部のあるイローリンに滞在する若月がパソコン上のGoogle Earth画像情報と比較して、電話とメール等でコミュニケーションしながら現地調査隊のターゲット地域を絞り込むという方法で実施した。 この結果Google Earth画像解析で最も顕著に自力水田開発が推定されたKebbi州のSuruとSangelu地域の氾濫原約2万haの予備的な現地調査が実施でき、約3000ha規模の、農民による自力(内発的)水田開発を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブサハラアフリカ諸国の中で過去10年で最も稲増産が著しく、しかもその増産の主要因が農民による自力水田開発と整備によると推定される、ナイジェリアKebbi州での現地調査法に目途がついたため。予備的な成果であるがKebbi州における内発的な水田開発と整備が数万ha以上に達することが、現地調査により確認できた。 2019年のFAOSTATによれば直近の2016-17年のSSAの平均籾生産は3139万トン、2006-07年は1465万トンで、過去10年で2倍以上の1674万トン増加した。この増加の42%(699万トン)はNigeriaであった。ついでMaliが10.2%(171万トン)、UR Tanzaniaが9.9%(166万トン)、Cote d'Ivoire 8.5%(142万トン)、Guinea 4.9%(82万トン)増加した。この5ケ国でSSA全体の増加量の75.5%を占めた。Madagascarはこの間減少した。ナイジェリアの増産が突出している。この突出的な増加に貢献したのがナイジェリアの北部5州のJigawa、Kebbi、Sokoto、Zamfara、Kano州の乾季稲作の推進であった。増加量699万トンのうちの20-30%がKebbi州の貢献と推定される。Kebbi州は他の北部4州のような政府主導による5000 ha以上の大規模灌漑地は無い。ほとんどが無数の農民による小規模であるが政府灌漑地を遥かに超える規模の内発的(自力)な灌漑水田開発地であり、SSAの稲作革命を先導していると考えられるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
ナイジェリアに置いてはKebbi州以外のSokoto、Niger、Kaduna、Kano、Zamfara、Jigawa等の北部州で、NCAMのSawah Technologyチームと連携して、初年度で確立した方法によって、現地調査を実施する。これによりKebbi Rice Revolutionの学術的評価を行う。 2019年度では水田仮説1を英国の歴史的農業革命の基盤となったEnclosureと対比するため、その故郷の地Norfolkでの現地調査を実施する。治安面からの制約により水田仮説2の実証に関係する以下の現地調査は、規模においてはKebbi州にはるかに及ばないが農民による自発的な水田開発整備が行われているガーナサイトで実施する。内発的発展論についての農村社会経済学的現地調査はガーナのKumasi周辺のSawah Project sitesにて行う。又、水田仮説2に関する作物学的な現地調査と微生物学的現地調査もKumasi周辺で実施する。
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Causes of Carryover |
2018年度10月から研究開始であったので、現地調査は最難関のナイジェリアKebbi州での予備調査に留めた。そのため、2019年度に本格的な調査を英国も含む、ガーナとナイジェリアにおいて実施する。
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Research Products
(2 results)