2023 Fiscal Year Annual Research Report
International collaboration for the study of drug action based on real-world clinical data
Project/Area Number |
18KK0216
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 京都大学, 医学研究科, 研究員 (60177516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
宗 可奈子 京都大学, 薬学研究科, 助教 (50816684)
永安 一樹 京都大学, 薬学研究科, 助教 (00717902)
|
Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
|
Keywords | ビッグデータ / 電子カルテ / 有害事象 / 医療情報 / オントロジ |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床応用されている医薬品の薬理作用は判明したごく一部のメカニズムだけが教科書等で紹介されていると考えた方が良い。事実、開発段階においてすべての受容体・酵素・チャネルに対する親和性を測定しているわけではなく、ヒトにおける安全性も限られた例数と時間の範囲で調べられているに過ぎない。それを裏付けるように市販後調査によって判明する有害事象は後を絶たない。実際、臨床データの中には医薬品の未知なる作用が山のように埋もれており、その中には有害事象メカニズムだけでなく、思わぬ有益性も潜んでいると考えられる。では、どのようにしてそれを知ることができるだろうか?それを日本国内に限らず、米国あるいはカナダで蓄積されてきた臨床リアルワールドデータ(RWD)から探し当てようとした。 (1)糖尿病治療DPP4阻害薬によって自己免疫疾患である類天疱瘡の発症リスクが高まるが、欧米で多用される降圧薬リシノプリルの併用はそのリスクを低減させることをRWDから見いだした。薬理学的検討から本作用は免疫細胞への作用ではなく、ACE2-MasR経路の抑制を介して皮膚MMP9の発現抑制によって類天疱瘡の発症を抑制することが示された。 (2)フルオロキノロン抗菌薬の投与はそれが短期間であれ、低頻度ではあるが腱障害リスクを高める。従来、治療ガイドライン等では副腎皮質ステロイド併用は腱障害リスクを高めるとされているが、RWD解析からはデキサメタゾンの予防効果が見いだされた。興味あることにデキサメタゾンは高齢者コホートにおける腱障害の自然発症率も抑制した。薬理学的検討から、フルオロキノロンは活性酸素種の発生を伴うDNA損傷によって腱細胞を障害するが、デキサメタゾンはラジカル消去に寄与するグルタチオンペルオキシダーゼGPX3の発現上昇を介して短期間では腱組織の機能に対して有益に働くことを見いだした。
|
Research Products
(4 results)