2020 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiological functions of ion channels in the chronic inflammatory and fibrotic disorders
Project/Area Number |
18KK0218
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (60117794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 進 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70275147)
山村 寿男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (80398362)
鈴木 良明 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (80707555)
鬼頭 宏彰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40749181)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 慢性炎症 / リンパ球 / 軟骨細胞 / マクロファージ / カルシウムシグナル / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症慢性化過程の細胞機能変動において、免疫担当細胞に機能発現するイオンチャネルがどのような病態生理学的意義を果たしているかは明らかにされていない。本研究の目的は、貪食機能を有する免疫担当細胞の活性化と、炎症慢性化による組織リモデリングにおける細胞内Ca2+濃度制御に関わるイオンチャネル群とその分子機構を解明し、炎症慢性化・組織リモデリングにおける新規治療標的イオンチャネルを探索・同定することである。 これまでの研究において、炎症性腸疾患モデルマウスの病態発症・悪化にtwo-pore型K+チャネルK2P5.1の発現・機能亢進による炎症性サイトカイン産生増加が関与すること、および炎症誘発性の低酸素環境によるHypoxia-Inducible Factor-1αシグナルの活性化がTリンパ球K2P5.1の発現亢進に関与することを明らかにした (Endo et al., 2020)。 また、炎症性腸疾患の回復期においてCa2+活性化K+チャネルKCa3.1の阻害がCD4+CD25+制御性Tリンパ球におけるIL-10発現・分泌を亢進させ、症状の改善に寄与することを明らかにした(Ohya et al., 2021)。 変形性関節症(OA)に対するCa2+シグナルの関係を明らかにするため、マウス初代軟骨細胞を用い、OA病変とイオンチャネルの関連を調べた。IL-1βがCa2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを介した細胞内Ca2+濃度上昇によりNFATの核移行を促して、OAマーカー発現を担うことが示唆された。また、IL-1βの持続的処置により、電位依存性K+チャネルKv1.6の発現が低下し、膜脱分極・細胞内Ca2+濃度上昇が引き起こされ、OAマーカー誘導が増強されることを見出した。ヒト軟骨細胞株でClC3が浸透圧刺激による容量制御に関わることを見出した(Yamada et a., 2020)。 これまでの軟骨細胞に関する研究の総説を国際誌に発表した(Suzuki et al., 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでにいくつかの研究成果が国際誌で受理されている。当該年度の研究成果からさらに国際誌に論文を発表することが期待できる。 新型コロナウイルスの影響で、2020年に予定した研究者の交流は実現できなかった。今後の感染状況により可能であれば、研究者の相互派遣を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性疾患モデルマウスより貪食能を有する免疫細胞を回収し、細胞機能に対するイオンチャネルの病態生理学的役割を検討する。研究を進める上で参考とする情報は、これまで申請者らが行ってきた急性・亜慢性・慢性炎症性腸疾患モデルマウスに対するKCa3.1阻害薬投与実験より得られている。また、新規の炎症性疾患モデルマウスとしてブレオマイシン誘発性肺線維症モデル・敗血症性急性肺傷害モデル・大腿骨穿孔モデルを導入し、腹腔マクロファージ、肺組織におけるT細胞・好中球・肺胞マクロファージに加えて、急性傷害により活性化する免疫細胞におけるイオンチャネル発現・活性について検討する。 IL-1βによる Ca2+遊離活性化Ca2+チャネルの活性化と、OAマーカー発現に関する研究について、概ねデータが揃ったので国際誌に研究成果を発表する。Kv1.6に関する研究について、ウイルスベクターによるKv1.6の過剰発現が細胞内Ca2+濃度上昇やOAマーカー誘導を抑制するか検証した後、国際誌に研究成果を発表する。 今後の感染状況により可能であれば、名古屋市立大学・カルガリー大学間で研究者の相互派遣を行う。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナウイルスの感染拡大により、カナダへ渡航することが困難であったため。
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