2018 Fiscal Year Research-status Report
生命現象に迫るユニバーサルな蛍光偏光顕微観測法開発
Project/Area Number |
18KK0222
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
寺田 純雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00262022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川岸 将彦 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60323606)
齊藤 健太 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60374659)
佐藤 啓介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60644044)
中木戸 誠 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80784511)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞学 / 蛍光偏光 / 顕微分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光偏光顕微観察の前提となる新規constrained tagging法(蛍光分子と非標識分子の立体的相互関係を固く維持した状態で両者を結合させる方法)POLArIS法の開発を進めた。同法の基礎技術となる改変αへリックス法に関し、F-アクチンを標的としたPANDIA-1を改良したプローブについて、細胞内におけるアクチン動態に関する検証実験データを集積し、PANDIA-1との比較も含めて英文論文として投稿した(国際共著論文で、2019年度早々にアクセプトされた)。アクチンプローブとして十分な実用レベルに到達しているものと考えている。これらの所見を元としてPOLArIS法による新規プローブについても開発を継続し、多色化、その応用範囲を拡大する各種改変等を実施した。更にPOLArIS法プローブを材料として結晶化による構造解析を行った(共同研究)。その結果、ほぼ当初の設計通りのプローブが作成できていることが明らかとなった。また、特にアクチンを標的とするPOLArIS法プローブは高性能であり、このプローブの利用により、ヒトデの卵母細胞を使用した実験において従来報告のなかった新規アクチン構造動態の検出に成功している。以上のデータはまとめて現在投稿準備中である。神経系におけるアクチン系細胞骨格動態の観察については、参照データとしての超解像顕微鏡による観察の条件検討を行っている。ラミンを標的としたプローブについては、改変αへリックス法プローブによる細胞内動態観察を開始した(若手教員を米国の共同研究施設に派遣してデータを取得している)。偏光蛍光相関分光装置については、その構築と解析プログラムの動作確認、使用サンプルの調整を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に予定した項目についてはそれぞれ何らかの進捗がみられているので、成果発表に向けて努力した。他方、ターゲット分子のスクリーニング(国内の若手分担研究者との共同研究)については、当初の予想より難度が高いことが明らかとなってきたので、スクリーニング系のプラットフォームを拡大することに方針を変更した。また、細胞の深部のアンサンブルの蛍光偏光信号を取得するためには、別途顕微鏡のセットアップを組む必要があることも判明した。これらの状況から、計画の一部は修正の必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニング系のプラットフォームを拡大した上で、新たにPOLArIS法のターゲット分子スクリーニングを継続する。アクチンを標的とするPOLArIS法プローブの性能が非常によくその汎用性が高いと考えられるので、このプローブを利用した遺伝学的実験を予定する(ニューロフィラメントタンパク質動態の解析よりこちらを優先したい)。神経系のアクチン細胞骨格動態、ラミンの動態解析等は引き続き実施する。また細胞の深部のアンサンブルの蛍光偏光信号を取得するため新規に顕微鏡セットアップを構築したい。
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Causes of Carryover |
細胞の深部のアンサンブルの蛍光偏光信号を取得するため新規の顕微鏡セットアップが必要であることが判明したため、検出器や特殊光学素子、TIRF照明装置の購入を中止し、次年度の予算と合わせて費用を捻出することに計画を変更した。
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