2020 Fiscal Year Research-status Report
Surveillance of viruses causing zoonotic infections across three continents
Project/Area Number |
18KK0225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河岡 義裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70135838)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 登喜子 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60557479)
岩附 研子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20376619) [Withdrawn]
山田 晋弥 東京大学, 医科学研究所, 助教 (90466839)
植木 紘史 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (70794907)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | ウイルス / 人獣共通感染症 / 野生動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球レベルでの環境変化や野生動物との生活圏域の近接化により、新興感染症となりうる人獣共通感染症が、ヒト社会に侵入する可能性は増大している。最近の研究から、アフリカ、南米、アジア等の国々が、人獣共通感染症が発生しやすいホットスポットであると予測されているが、その実態は未だ不明である。そこで本研究では、アフリカのシエラレオネ、南米のボリビア、東南アジアのインドネシアにおいて、人獣共通感染症を引き起こすウイルスの流行状況を把握するために、海外共同研究者と連携して、ヒトや野生動物における血清学的調査、および野生動物が保有するウイルスの分離・同定を行う。 本研究では、アフリカ・シエラレオネの共同研究者であるシエラレオネ大学のAlhaji n’jai博士とIsatta Wurie博士の協力のもと、シエラレオネの首都フリータウン市でのヒトにおけるウイルス感染症の流行状況の把握を目指す。具体的には、一般診療目的で採取された血液から分離した血清を用いて、血清学的調査を進めている。今年度は、蚊によって媒介されるジカウイルス感染症の解析を行なった。ジカウイルス感染症では、一般的には不顕性感染が多いが、発熱などの症状が出ることもあり、妊婦が感染して、胎児の脳形成不全が生じることがある。南米で問題になっている感染症であるが、シエラレオネではこれまでに報告されていない。そこで我々は、ジカウイルスに対する中和試験の系を確立し、2000人以上の血清サンプルを用いて中和試験を実施したところ、本ウイルスに対する中和抗体を持つ人が複数存在することが明らかとなった。以上の結果は、フリータウンでは、ある一定の割合の人がジカウイルスに感染していることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、アフリカ・シエラレオネの首都フリータウン市において、ヒトや野生動物でのウイルス感染症の流行状況を明らかにすることを目的としている。我々はこれまでに、現地の医療機関や保健省などを訪問し、協力研究者との研究打ち合わせを行い、ヒトにおけるウイルス感染症の流行状況を調べるための血清学的調査の実施を可能とした。今年度は新型コロナの影響により、予定していた海外出張が中止となり、新規のサンプル採取を実施することができなかった。そのため本研究課題の進捗はやや遅れていると言える。本年度は、これまでに採取した血清サンプルを用いて、ジカウイルスに対する中和試験を実施したところ、本ウイルスに対する中和抗体を持つ人が複数存在することが明らかとなった。以上の結果は、フリータウンでは、ある一定の割合の人がジカウイルスに感染していることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナの影響により、しばらくの間は、アフリカや南米への出張は困難と思われる。したがって、これまでに採取したヒトの血清や野生動物のサンプルを用いて研究を進める。様々なウイルスに対する抗体スクリーニングを行い、シエラレオネにおけるウイルス感染症の流行状況を調べる。また、これまでに採取したコウモリの臓器サンプルからRNAを抽出し、次世代シークエンスを行い、ウイルス遺伝子の検索を行うことによって、コウモリが保有するウイルスを明らかにする。
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Causes of Carryover |
2020年度は、本研究課題に従事する数名の研究者をアフリカ・シエラレオネへ派遣する予定だったが、新型コロナの影響により、中止せざるを得なかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、採取したサンプルの血清学的解析や次世代シークエンス解析等に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)