2018 Fiscal Year Research-status Report
Pathogenic and genetic analysis of Toxoplasma by Japan, China and South Korea
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18KK0226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 雅裕 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 美和 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30631551)
馬 知秀 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (90755266)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | 武漢株A / トキソプラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
安徽医科大学のグループが武漢の野良猫の死骸から分離した採取した組織片をPBSでホモゲナイズ後、ペプシン消化して調整した懸濁液をBALB/cマウスの腹腔に投与し経時的に観察したところ、マウスが衰弱した。そのマウスの腹腔から腹腔滲出液を採取し、原虫特異的抗体を使用した免疫染色を行い、原虫の存在を確認した。続いて、マウスの個体を使った限界希釈を行い逐次株化し、武漢株Aとしゲノム核酸を採取した。武漢株Aのトキソプラズマ及び、北米欧州株I型及びII型トキソプラズマからゲノムDNAを抽出し、Covaris S220を用いて断片化を行った後ライブラリ化し、イルミナ MiSeqを用いて250bpペアエンドシークエンスを行い、データを取得した。得られた各ペアリードを、米国NIHでBurrows-Wheller Alignerを用いて、ToxoDB-8.2(トキソプラズマの標準株の全ゲノムデータベース)上のME49株(標準株Ⅱ型)のレファレンスゲノム上にマップし、得られたbam ファイルをソートした。ソートされたreadsをソフトクリップし、Genome Analysis Toolkit (GATK)を用いて、挿入及び欠失がある配列や塩基配列のクオリティスコアの再測定を行い、GATK Haplotype Caller(バリアント)を作成して、SNPを検出した。またREDHORSEを用いて、階層的クラスタリングを作成し、系統樹を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
中国における豚コレラの発生によりサンプル採取が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
中国における豚コレラの発生の終息を待ち、北京、上海、広州地区の市場におけるドブネズミからのサンプル採取を再開する。得られた次世代シークセンスデータをCircos plotを用いて、トキソプラズマの既存の16ハプログループとの進化的な関連を視覚的に解析する。武漢株Aの増殖を、マウス及びヒト由来細胞を使い、非制限培養条件下及び抗トキソプラズマ作用を持つサイトカインであるIFN-γ刺激した制限培養条件下で検討する。さらにマウス骨髄由来マクロファージ感染系におけるIFN-γ誘導性の抗トキソプラズマ因子として重要であるIFN誘導性GTPaseの原虫への動員率の測定と一酸化窒素の濃度を測定する。またヒト細胞においてはトリプトファン分解酵素の活性を検討する。マウス個体に各トキソプラズマ株を感染させ、経時的に血清を採取し、炎症性サイトカイン(IL-1,IL-18,IL-6,IL-12,TNF-α)、臓器中の原虫数、慢性感染時の脳中のシスト数、そして、マウス個体の生存率を測定し、各株を特徴づける。野生型マウスが感受性とならない株については、IFN-γ欠損マウスやGate-16欠損マウス, iNOS欠損マウスで検討する。また、韓国分離株Bと日本分離株CとDについても、次世代シークエンスを全ゲノム配列を決定し、武漢株Aや北米欧州株I型およびII型との間の全ゲノム配列と比較し、分子進化学的な系統樹を作成する。
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Causes of Carryover |
中国の家畜豚のアフリカ豚コレラの流行によって、2018年度の中国のサンプル収集が十分にできなかったために、2019年度にその分を持ち越した。また次世代シークエンス解析については、所内の追加予算がついたこと、また、データ取得の手法の見直しにより想定したよりも1系統当たりの消費額が少なくて済むことが分かったため、大幅に節約できた。次年度にはより多くの系統の全ゲノム配列決定を行うため持ち越し分は全て使用する予定である。
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