2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive analysis of 3D nuclear gene position involved in malignant transformation of hypoxic cancer
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18KK0233
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
中山 恒 旭川医科大学, 医学部, 教授 (10451923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷本 幸介 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (60611613)
谷水 直樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00333386)
與那城 亮 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (60453809) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / ヒストンメチル化 / 遺伝子発現 / クロマチン構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、低酸素下におけるがん細胞のクロマチン構造変化を介した遺伝子発現制御機構を明らかにすることをめざして、研究を進めた。前年度までに、低酸素に応答してヒストンメチル化が亢進する遺伝子とそれに呼応して発現量が増加する遺伝子を、公共データベースを利用して網羅的に同定を進めた。本年度は、低酸素下で亢進するヒストンメチル化のうち、遺伝子発現の促進に関わるヒストンH3K4のトリメチル化に着目した解析を進めた。乳がん細胞株MCF7を48時間の長期的な低酸素環境で培養した後に、ChIP-qPCR解析を実施した。その結果、データベース解析で早期低酸素時に発現が誘導されることが認められた大多数の遺伝子のプロモーター領域でのH3K4メチル化が、長期低酸素下で顕著に亢進することが明らかになった。次に、H3K4のメチル化亢進が起こる分子機構を、ヒストン脱メチル化酵素KDMに着目して検証した。H3K4の脱メチル化を担うKDM2A, KDM5Aの発現は低酸素下においても変化しなかった。これらの酵素は低酸素下で活性が抑制されることから、そのノックアウト細胞株をCRISPR/Cas9システムを用いて樹立するところまでを進めた。さらに、ヒストンアセチル化に関与するPDHに着目した解析も進めた。PDHをノックアウトしたMCF7細胞を樹立したところ、この細胞は低グルコース培地中でその増殖が顕著に抑制されることが明らかになり、ヒストンアセチル化を介した遺伝子発現制御が細胞増殖に関与することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子の核内配置のイメージング解析を行う予定であったが、新型コロナ感染症による海外の共同研究機関への訪問が制限され、解析が実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立したKDM2A, KDM5Aノックアウト細胞の解析を進め、ヒストンメチル化が低酸素で亢進する分子機序を明らかにする。さらに、これらの細胞の表現型を解析して、ヒストンメチル化の低酸素下での生理的意義を解明する。また、通常酸素と長期低酸素を比較したChromatin-captureアッセイを実施して、低酸素下でクロマチン構造の変化が起こる部位をまず明らかにする。この時のクロマチン構造変化に、低酸素応答性の転写因子やKDMが関与しているのかを、それらをノックアウトした細胞株を用いて検証する。長期低酸素に応じてクロマチン構造が変化して、かつ、低酸素応答性の転写因子によってその構造変化が規定される遺伝子を同定して、蛍光プローブを設計し、低酸素培養前後での核内配置の変化をイメージングにより明らかにする。 これらの結果を基に論文を作成して、発表する。
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Causes of Carryover |
海外渡航が制限され、海外研究機関と共同で行う解析が実施できなかったため。
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