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2021 Fiscal Year Research-status Report

Elucidation of the pathogen transmission kinetics of gastroenteritis infection by multiple analysis phases.

Research Project

Project/Area Number 18KK0270
Research InstitutionOsaka Institute of Public Health

Principal Investigator

左近 直美  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主幹研究員 (50291216)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 余野木 伸哉  地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 微生物部, 主任研究員 (20553613)
北島 正章  北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30777967)
駒野 淳  大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (60356251)
Project Period (FY) 2018-10-09 – 2023-03-31
Keywords下水サーベイランス / ノロウイルス / ディフィシル菌 / 感染実態
Outline of Annual Research Achievements

地域内の感染症流行が国内あるいは海外でどのように伝播したのかを科学的見地に基づいて推定し、感染症の制御を達成するための重要な基盤情報とするため、下水中の病原体の探索を実施した。大阪府内の下水におけるSARS coronavirus-2は感染者数と関連性が認められ、次の感染ピークの予測に有用であることが考えられた。同様のスキームによって感染症の流行予測への応用が期待される。
ディフィシル菌とウエルシュ菌についてゲノム解析を進めた。ディフィシル菌については5株のCDT遺伝子保有株のゲノムを解読した。また、これまでに名古屋市で収集されたおよそ140株についてtoxinA、toxinB、CDT遺伝子の保有をPCRで確認し、PCRリボタイプ、slpA-typing、POT法で分子疫学的な関連性を調査した。欠損データが存在し、これらの確認が必要であるが、菌の分離日と比較することで、複数の系統の菌による散発的流行や再流行(再発的流行)と考えられる状況を探知し、さらに詳細に解析している。ウエルシュ菌については5株の新型エンテロトキシンBEC遺伝子保有ウエルシュ菌の完全ゲノムを解読し、BEC遺伝子をコードするプラスミドが自然環境下で水平伝搬していることを初めて検出した。さらに、公共のデータベースに登録されているウエルシュ菌のゲノム情報についてデータマイニングを実施した。この結果、これまで知られていた数より多くのウエルシュ菌がBEC遺伝子をコードするpCP13-like family plasmidsを保有していることを確認し、ウエルシュ菌におけるpCP13-like family plasmidsの重要性を提示した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

COVID-19の流行に伴い、下水活用の観点からSARS coronavirus-2の検出が主な実施内容となり、分担研究者である北島の参画するタスクフォース連携によって国内のSARS coronavirus-2サーベイランスが大きく発展し、寄与することができた(発表5題。第58回環境工学研究フォーラム環境技術・プロジェクト賞受賞)。また、COVID-19の流行によるその他感染症の発生動向に注目し、感染性胃腸炎および食中毒の発生動向の変化について解析を行った。小児の感染性胃腸炎の報告数は大きく減少はしていたものの、協力クリニックから提供され、少ないながら感染把握を継続できた。
国内で分離されたディフィシル菌のうち海外では強毒株とされるCDT産生株について、海外株との比較ゲノム解析のために全塩基配列を解読し、比較ゲノム解析を進めている。分子疫学的手法を用いた解析について欠損データの確認を進めている。分離日等の時系列データの整理を合わせて進め、論文投稿の準備中である。2014年に我々が新たに同定したウエルシュ菌の新型エンテロトキシンBEC産生株について、完全ゲノムを決定した。この情報からBEC遺伝子をコードするプラスミドが自然環境下で水平伝搬していることを初めて検出した。BEC遺伝子をコードするプラスミドは接合伝達性プラスミドpCP13と同様のconjugation locusを有していた。これまでにpCP13-like family plasmidsが感染症へ関与するという明確な知見は得られていなかったが、我々はデータマイニングと比較ゲノム解析からpCP13-like family plasmidsは多くのウエルシュ菌が保有する接合伝達性プラスミドであり、BEC遺伝子の他にも病原因子を取り込む可能性が示された。これらの内容はBMC Genomics.に掲載された。

Strategy for Future Research Activity

下水を用いたサーベイランスによる疫学解析はCOVID-19によって広く認識されるようになり、検出データを用いた感染規模の予測化へと発展を続けている。本研究課題においても下水の定期的な採水を用い、SARS coronavirus-2の検出に軸足を置き、パンデミックに柔軟に対応するとともに、本研究が下水を用いた感染症モニタリングについて先駆的に課題としてきたことが有益であった。メタゲノム解析によってSARS coronavirus-2変異株の置き換わりなどが把握できれば、患者ベースではないサーベイランスの実施が期待され、機能的下水疫学へと発展できると考えている。感染症サーベイランスによる病原体検索は患者検体をベースにしており、検体提供数の減少が著しく、感染症の背景(平時の状況)の把握が困難になってきている。
今後は当初の課題としてきた下痢症ウイルスの変異予測への応用や不顕性感染の影響評価のため、下水検体からのノロウイルス検出、メタゲノム解析を活用した解析に取り組む。ディフィシル菌については地域における散発的流行や再発的流行が予想され、この原因として環境中の菌の影響が考えられる。この関連性を調査するために下水や河川水等から菌を分離して、環境存在の影響についてこれまでに得た知見をさらに深める。また、散発的流行や再発的流行を起こしたと考えられる株が同一なクローであるかより正確に確認するために、全ゲノム解析を実施する。

Causes of Carryover

コロナ対応により解析対象としている病原体についての進行できておらず、その解析費用分が繰り越されている。

  • Research Products

    (13 results)

All 2022 2021 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 3 results) Presentation (7 results)

  • [Int'l Joint Research] CDC(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      CDC
  • [Journal Article] Analysis of the complete genome sequences of Clostridium perfringens strains harbouring the binary enterotoxin BEC gene and comparative genomics of pCP13-like family plasmids2022

    • Author(s)
      Ueda Kengo、Kawahara Kazuki、Kimoto Narumi、Yamaguchi Yusuke、Yamada Kazuhiro、Oki Hiroya、Yoshida Takuya、Matsuda Shigeaki、Matsumoto Yuki、Motooka Daisuke、Kawatsu Kentaro、Iida Tetsuya、Nakamura Shota、Ohkubo Tadayasu、Yonogi Shinya
    • Journal Title

      BMC Genomics

      Volume: 23 Pages: 226-240

    • DOI

      10.1186/s12864-022-08453-4

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] COVID-19の流行によるその他の感染症の発生動向 感染性胃腸炎の発生動向の変化2022

    • Author(s)
      左近直美
    • Journal Title

      臨床と微生物

      Volume: 49 Pages: 41-47

  • [Journal Article] 大阪府の食中毒事例で検出されたノロウイルス流行状況と分子疫学的解析 (2019・2020 年度)2022

    • Author(s)
      白井達哉,左近直美,高田利香,本村和嗣
    • Journal Title

      地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所研究年報

      Volume: 5 Pages: 18-24

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Global Trends in Norovirus Genotype Distribution among Children with Acute Gastroenteritis2021

    • Author(s)
      Cannon JL, Bonifacio J, Bucardo F, Buesa J, Bruggink L, Chan MC, Fumian TM, Giri S, Gonzalez MD, Hewitt J, Lin JH, Mans J, Munoz C, Pan CY, Pang XL, Pietsch C, Rahman M, Sakon N, Selvarangan R, Browne H, Barclay L, Vinje J
    • Journal Title

      Emerging Infectious Diseases

      Volume: 27 Pages: 1438~1445

    • DOI

      10.3201/eid2705.204756

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] 環境水から高頻度に分離されたIS1151プラスミド型エンテロトキシン(CPE)遺伝子保有ウエルシュ菌の人口集中地区への局在2021

    • Author(s)
      下中晶子、余野木伸哉、川津健太郎、枝川亜希子
    • Journal Title

      日本防菌防黴学会誌

      Volume: 49 Pages: 369-374

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 定量的下水疫学データに基づくCOVID-19流行動向の把握:国内主要都市における実証2022

    • Author(s)
      荒川千智、岩本遼、三浦郁修、左近直美、橋本温、岸田文、原元英司、岡部聡、北島正章
    • Organizer
      第56回日本水環境学会年会
  • [Presentation] 全国7医療施設で分離されたC. difficileのPOT型を利用した分子疫学的解析2022

    • Author(s)
      鷺坂祐作、南 健太、鈴木陽一、浮村 聡、中野隆史、駒野 淳
    • Organizer
      第51回日本嫌気性菌感染症学会学術集会
  • [Presentation] ウエルシュ菌による下痢症とpCW3-likeおよびpCP13-like接合伝達性プラスミドの下痢症への関与2021

    • Author(s)
      余野木伸哉
    • Organizer
      第70回日本感染症学会東日本地方会学術集会第68回日本化学療法学会東日本支部総会 合同学会
  • [Presentation] 国内主要都市における長期間の定量的COVID-19下水疫学調査2021

    • Author(s)
      荒川千智、三浦郁修、岩本遼、左近直美、橋本温、原元英司、岡部聡、北島正章
    • Organizer
      第58回環境工学研究フォーラム
  • [Presentation] 国内主要都市における定量的下水疫学情報に基づくCOVID-19流行動向の把握2021

    • Author(s)
      荒川千智、岩本遼、三浦郁修、左近直美、橋本温、岸田文、原元英司、岡部聡、北島正章
    • Organizer
      第23回日本水環境学会シンポジウム
  • [Presentation] 国内主要都市における長期間の定量的下水疫学調査から推定する COVID-19 流行実態2021

    • Author(s)
      荒川千智、三浦郁修、岩本遼、左近直美、橋本温、原元英司、岡部聡、北島正章
    • Organizer
      第24回日本水環境学会シンポジウム
  • [Presentation] 大阪医科薬科大学病院で分離されたC. difficileの分子疫学的解析2021

    • Author(s)
      鷺坂祐作、南 健太、鈴木陽一、浮村 聡、中野隆史、駒野 淳
    • Organizer
      第74回細菌学会関西支部総会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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