2022 Fiscal Year Research-status Report
腸内細菌叢の活性で調節される食物由来の概日リズム振動化合物の同定及びヒトへの応用
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18KK0274
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (90304047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 一諭 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (40352372)
上番増 喬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10581829)
下畑 隆明 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90609687) [Withdrawn]
山田 苑子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30716634)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内微生物細菌叢 / 概日リズム / 肝臓 / 中性脂肪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、食事または食物由来の成分を用いてヒトの概日リズム関連疾患への予防または改善への応用を目指すため、腸内微生物細菌叢の活性を考慮した介入方法の開発を目指す研究である。 食物由来の概日リズム振動化合物を探索する方法として、(1)国際共同研究先の有する概日リズム振動を活性化する化合物の基本構造リストを基に探索する、(2)当研究グループが有する腸内微生物細菌叢の構成や活性に作用する食物由来低分子化合物ライブラリを基に探索する、(3)概日リズム不調との関連性が強く疑われる疾患の治療薬(その中の天然化合物を中心に)から探索することから開始した。まず、数十化合物を選別し、培養細胞を用いた概日リズム関連遺伝子(Per2, Bmal1)の転写調節活性をリアルタイムレポーターアッセイでモニターすると、数十化合物のうち、数化合物で転写活性のリズム振動や効果が確認された。 この中の1つの化合物(Sudachitin)の大量精製に成功したため、薬物動態試験を行った。すると、血中や各組織から検出されたが、Sudachitinとそのアナログには特定の組織(特に肝臓)に指向性が高いことがわかった。そこで、実験動物へ長期に経口投与を行い、肝臓への効果を評価した。Sudachitinを食事誘導性肥満マウスに投与すると、血中と肝臓中の中性脂肪濃度が有意に低下した。さらに、次世代シーケンサーを用いたRNAseqによるTranscriptomeと、飛行時間型質量分析装置によるMetabolome解析を行った。すると、ZT6とZT18とで有意に変動した遺伝子群や代謝パスウェイがSudachitin投与群と非投与群で異なっていた。Sudachitinは肝臓での概日リズムを調節している可能性が考えられた。本研究成果は、2023年3月にMolecular Nutrition and Food Research誌にて発表した。Sudachitinは糞便中にも多く検出されていることから腸内細菌との関連性も検討しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度までに国際共同研究機関へ研究分担者1名を約5か月間派遣して実質的な研究を行った。そこで、これまでに概日リズムへの効果が報告されていない低分子化合物の候補を数化合物見出することができた。令和2年度は、そのうち1つの化合物を精製することに成功し、実験動物を用いた薬物動態試験と長期投与試験を開始した。令和2年度以降に国際共同研究先での実験を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、渡航できなかった(本学の規定により)。しかし、サンプルの相互に輸送したり、解析データを国際共同研究機関と共有することで共同研究を進めていき、2022年度に研究成果をMolecular Nutrition and Food Research誌にて発表できた。引き続き、腸内微生物細菌叢との関連性や、 Compound X以外の化合物の評価や生理活性を評価していく予定である。渡航による共同研究先での実験がまだ進められていないため、進捗状況が少し遅れているが、打ち合わせを重ねて分担して実験や解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、令和2~4年度は共同研究先に渡航できなかったが、本学の規定等が緩和された場合、現地での実験再開に向けて計画をたてていく。令和5年度は本研究課題の最終年度である。Sudachitinに加えて、その他化合物の腸内微生物細菌叢との関連性や生理活性を評価していく予定である。渡航による共同研究先での実験がまだ進められていないため、進捗状況が少し遅れているが、オンラインでの打ち合わせを重ねて、分担して実験や解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和2年度以降に国際共同研究先での実験を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、本学の規定により令和4年度までに渡航できなかった ため、次年度使用額が生じた。共同研究先への旅費や、進行が遅れている研究領域に使用する物品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)