2018 Fiscal Year Research-status Report
The molecular mechanism underlying time-dependency of post-stroke rehabilitation
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18KK0276
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
岡部 直彦 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30614276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 修 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00253287)
丸山 恵美 川崎医科大学, 医学部, 助教 (30792072)
氷見 直之 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70412161)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では 脳梗塞後リハビリテーションによる効果が発症から時間が経過するにつれて減弱する「リハビリテーションの時間依存性」を司る分子メカニズムを明らかにすることを目的として実験、解析を行っている。これまでの 研究から脳梗塞後リハビリテーションの効果は皮質脊髄路を含む運動野の可塑的変化に依存していることがわかっており、脳梗塞四日後より早期にリハビリテーションを行った場合には機能回復効果が減弱する事がわかっていた。しかし、 リハビリテーションの開始がどの程度遅くなった場合に効果が減弱するかは明確でなかった。そこで、初年度はまずリハビリテーションの遅延による機能回復効果の減弱を確認した。実験ではマウスに脳梗塞を作成し、1、4、28日後からリハビリテーションを3週間行った。脳梗塞後のリハビリテーションは4または28日後に開始することにより機能回復を有意に促進させたが、実験前の予想に反して脳梗塞後のリハビリテーションの効果は脳梗塞後28日後のマウスで最も顕著であった。また、脳梗塞後1、4日後にリハビリテーションを行ったマウスではリハビリテーションによりCrebリン酸化の 低下が見られた。皮質脊髄路の変化はいずれのリハビリテーション群でも見られなかった。これらの結果は脳梗塞四日後がリハビリテーションの効果を最大化するには開始時期として早すぎること、そして開始時期の遅延による効果の減弱はより長い期間を要するという可能性を示唆している。また、 リハビリテーションは皮質脊髄路線維の脊髄での変化がなくても機能回復を促進することが示された。これらの実験は所属の川崎医科大学にて2018年9月から2019年2月に行われ、2019年3月からは 共同研究のためUCLAのDr. Carmichael labにて研究を継続しており、3月中に梗塞モデルの作成などの基本的な実験手技の確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題はリハビリテーションによる効果が脳梗塞からの時間により変化する「リハビリテーションの時間依存性」を支配する分子メカニウムを明らかにする研究であり、初年度は分子メカニズムを調べる実験において「いつリハビリテーションを行うか」そして「いつmRNAサンプルを採取するか」という時期決定の元となるデータを取得することを第一の目的として実験を行った。この実験の結果から、効果の最大となる時期は脳梗塞後四日より遅いほうがよく、さらに開始時期の遅延による効果の減弱を観察するには1ヶ月以上の期間を置く事が望ましい事が示唆された。また、ウスタンブロットの実験からはCrebリン酸化の変化はリハビリテーション開始四日後で顕著であることからmRNAの採取はリハビリテーション四日後の早期に実施する事が望ましい可能性が示唆された。さらに、今年度はCarmichael labでの実験準備を行うことが重要事項であったが、UCLAでの実験に必要なトレーニングや脳梗塞モデルの確立などは順調に進行しており、研究の進歩状況は概ね計画通りであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はウイルスベクターの注入による投射ニューロンの標識、FACSによるウイルス標識神経の採取、そしてRNAシーケンスによる遺伝子変化の網羅的解析を行う。初年度の実験から脊髄での皮質脊髄ニューロンの変化は否定的であったため、今後は皮質脊髄路ニューロンへの入力経路である樹状突起スパインの形態変化を調べる予定である。また、リハビリテーションの開始時期は早期の開始時期を脳梗塞後10日後に設定し、この時期における変化をまず調べる。そして、この時期で機能回復、形態変化および遺伝子発現に有意な変化が見られた場合に超急性期(脳梗塞1日後)および慢性期(脳梗塞2ヶ月後)の実験を行う。
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Causes of Carryover |
米国での滞在費が2月末から使用されているが、2018年度2、3月の滞在費については支払いが2019年に行われるため次年度使用額が生じた。この金額については計画通り滞在費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)