2018 Fiscal Year Research-status Report
実機制御への応用を目指した予測性運動制御を実現する脳幹・小脳ループの神経機構理解
Project/Area Number |
18KK0286
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
平田 豊 中部大学, 工学部, 教授 (30329669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 明 東海大学, 医学部, 准教授 (70546746)
LEE Jaeryoung 中部大学, 工学部, 助教 (70736363)
小野 誠司 筑波大学, 体育系, 准教授 (70754753)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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Keywords | 予測性制御 / 眼球運動 / ロボット / 人工小脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,動物に見られる予測性適応運動制御の神経機構を理解し,その工学的実現を目指す.具体的には,ほとんどの脊椎動物で観測される眼球運動である視運動性眼球運動(OKR)に着目し,ヒト,サル,マウス,ならびに金魚を対象として,種横断的にOKRの予測性適応制御の行動特性と神経機構を明らかにすることを目的とする.また,こうした予測性適応制御を実現する神経機構を人工脳として計算機上に実装し,制御コントローラとしてロボットの予測性適応制御に応用することにより,その工学的有効性を示すことを目的とする. 本研究では,国内外の共同研究チームにより,次の4つのレベルの研究を進め,上記目的の達成を目指す:① 行動,② 神経細胞活動,③ 神経ネットワーク,④ 工学応用. 2018年度は,研究代表者(平田)と分担者(Lee)が海外共同研究者の研究室(Washington University School of Medicine, Drs. Pablo Blazquez & Tatyana Yakusheva Lab)を3月に訪れ,サルとマウスを用いた実験環境(行動実験ならびに神経細胞活動計測実験)の整備と予備実験(行動実験)を実施した.また,並行して,分担者小野の研究室ではヒトを用いた行動実験環境を,分担者加藤の研究室では遺伝子改変マウスを用いた行動ならびに神経細胞活動計測実験環境の整備を進めた.研究代表者の研究室では,金魚を用いた行動ならびに神経細胞活動計測実験を進めるとともに,これらの実験データを再現可能な小脳と脳幹の間で形成される神経回路ループに関するモデルの構築と,シミュレーション解析・評価を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は採択通知後の研究期間が短かったが,当初の計画通り,海外共同研究者の研究室においてサルとマウスを用いた本研究用の行動ならびに神経細胞活動計測実験環境の整備を終え,予備実験も開始できた.また,研究代表者ならびに研究分担者の研究室においても,当初の計画通り,ヒト,マウス,金魚を用いた行動・神経細胞活動計測実験のための種々の準備が整い,予備・本実験を実施できた.また,神経回路モデルについても最初のバージョン(これまでの金魚で得られたデータに基づくもの)が完成し,2019年7月に開催される国際会議(28th Annual Computational Neuroscience Meeting)において研究代表者が発表する予定である.これらの進捗を鑑み,「おおむね順調に進展している」ものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は9月に研究代表者ならびに分担者全員が海外共同研究者の研究室を訪れ,サルとマウスを用いた実験を実施する.また,国内では,研究代表者の研究室において,金魚を用いた実験を引き続き実施するとともに,神経回路モデルの改良を進める.分担者Leeの研究室では,工学応用のためのロボット制御用実験環境の整備を進める.分担者加藤の研究室では,マウスを用いた行動ならびに神経細胞活動計測に関する本実験を実施し,分担者小野の研究室では,ヒト(特に,アスリートと一般人)を用いた行動実験を実施する.この間,逐次新たなデータを基に議論を進め,神経回路モデルのアップデートとシミュレーション解析,ならびに工学応用実験への適用を進める.
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Causes of Carryover |
予算執行可能となってから年度末の各大学の予算執行締め切りまでの期間が短く,購入予定のもののうち納品が間に合わない実験装置等があったため.また,同様の理由により,研究分担者(小野,加藤)のスケジュール調整がうまくいかず,海外共同研究者の研究室を訪問し,共同実験をする機会を持てなかったため,旅費に関わる予算を繰り越した.
繰り越した予算は,上記購入予定であった物品の購入と,今年度の海外共同研究先への渡航期間の延長ならびに国内共同研究者の研究室相互訪問のための旅費として使用する.
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Research Products
(10 results)