2019 Fiscal Year Research-status Report
海水温上昇にともなう大型回遊魚の分布域の変化を予測するモデルの構築
Project/Area Number |
18KK0293
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
渡辺 佑基 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (60531043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 乙水 長崎大学, 海洋未来イノベーション機構, 助教 (60774601)
松本 瑠偉 一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 主任研究員 (90816430)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 行動生態 / 環境適応 / 水温 / 魚類 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年4月の終わりから5月の初めにかけて、台湾南東部(台東県成功鎮)において、マンボウの野外調査を行った。定置網にかかったヤリマンボウ(マンボウ科の一種)一匹を船の甲板に上げ、背中に記録計のパッケージを取り付けた。その際、記録計のパッケージから伸びるワイヤー状の温度センサーをヤリマンボウの背中の筋肉に挿入し、体温を計測できるようにした。体長を計測した後、ヤリマンボウを海に放流した。翌日、記録計のパッケージが魚体からタイマーで切り離され、海面に浮上した。電波信号を頼りに船でそれを探し出し、回収した。 2019年5月の終わりから6月の半ばにかけて、再度、台湾に渡航し、同じ海域にてサメ類の調査を実施した。延縄漁を実施し、捕獲されたヨシキリザメ二匹に記録計のパッケージを取り付けて放流した。ヤリマンボウの時と同様に、ワイヤー状の温度センサーをサメの筋肉に挿入し、体温を計測した。翌日、魚体から切り離されて海面に浮上した記録計を、電波信号を頼りに船で探し出し、回収した。 ヤリマンボウとヨシキリザメそれぞれについて、得られたデータの解析を進めた。まず、遊泳行動のデータを用いて、それぞれの魚の潜水パターンと潜水中に経験する水温の変化を調べた。次に、潜水にともなう魚の体温の変化を分析した。ヤリマンボウもヨシキリザメも、昼夜を問わずに深い潜水を繰り返しており、潜水中には大きな水温の変化を経験していた。それにもかかわらず、潜水中の体温の変化は小さかった。すなわち、これらの魚は、体が冷え切る前に潜行をやめて浮上を始め、また体が温かくなりすぎる前に浮上をやめて潜行を開始していた。そのような鉛直移動による体温調整方法が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型回遊魚の生理生態に関するデータが順調に集まっており、またデータの解析も予定通り進んでいるので、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、研究を進めていく。複数種の大型回遊魚類から遊泳行動と体温のデータを取得し、それらを分析することによって、それぞれの魚類の水温適応の特徴を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度は予定通りの野外調査を実施した。積極的に延縄漁や定置網漁に参加したものの、調査に適した大型回遊魚がなかなか捕獲できなかった。結果として、記録計を装着して放流できた魚の数が当初の予定よりも少なく、そのため支出も少なくなった。次年度も引き続き野外調査を行い、なるべく多くの大型回遊魚を捕獲し、記録計を取り付けて放流する予定である。
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[Journal Article] Advancing research for the management of long-lived species: A case study on the Greenland shark2019
Author(s)
Edwards JE, Broell F, Bushnell PG, Campana SE, Christiansen JS, Devine BM, Gallant JJ, Grant SM, Hedges KJ, Hiltz E, MacNeil MA, McMeans BC, Nielsen J, Praebel K, Skomal GB, Steffensen JF, Walter RP, Watanabe YY, VanderZwaag DL, Hussey NE
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Journal Title
Frontiers in Marine Science
Volume: 6
Pages: 87
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Movement behaviour of released wild and farm-raised dolphinfish Coryphaena hippurus tracked by pop-up satellite archival tags2019
Author(s)
Lin SJ, Musyl MK, Wang SP, Su NJ, Chiang WC, Lu CP, Tone K, Wu CY, Sasaki A, Nakamura I, Komeyama K, Kawabe R
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Journal Title
Fisheries Science
Volume: 85
Pages: 779-790
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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