2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of multifunctional electron/nuclear magnetic resonance imaging
Project/Area Number |
18KK0304
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 拓 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (60250958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 和洋 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (10271115)
榎本 彩乃 長崎国際大学, 薬学部, 助教 (30826186)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 電子スピン共鳴 / 核磁気共鳴 / オーバーハウザー効果 / 腫瘍 / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、電子スピンと核スピンの磁気共鳴イメージング技術を用いて、がん腫瘍における複数の機能的情報(pH/酸素分圧/レドックス状態)を可視化するマルチファンクショナル電子・核磁気共鳴イメージング法の開発を目指している。 本研究課題は、カウンターパートである米国ウエストバージニア大学In vivo Multifunctional Magnetic Resonance Center (以下、IMMR センター)のディレクター・V. Khramtsov教授と協力し、マルチファンクショナル・イメージング技術を開発する国際共同研究である。初年度(2018年)10月に本課題が採択された後、Khramtsov教授と調整し、12月初旬に日本側研究チーム(研究代表者・平田(北大)、分担者・市川、榎本(長崎国際大))がウエストバージニア大学を訪問し、IMMRセンターのメンバーとキックオフミーティングを行った。研究チームの滞在中にIMMRセンターの研究環境および実験装置の状況を確認し、今後、研究を進める際の課題や実験装置の共通点、調整が必要な部分を確認した。キックオフミーティングでは日本側メンバーから現在の研究の到達点を報告し、IMMRセンターのメンバーが日本側の持つイメージング技術を理解する機会を設けた。この日本側研究チームの訪問は、ウエストバージニア大学生化学科のニュースレター(The Catalyst)に掲載された。 上記訪問の後、日本国内で行う要素技術の開発をスタートさせた。具体的には、電子スピン共鳴分光のデータ取得装置の開発(北大)、pHイメージング高精度化を実現することを目的とし、オーバーハウザー効果MRI(OMRI)共振器の設計(長崎国際大)、パルスシーケンスを実現するためのOMRI分光器のハード・ソフトの改良(長崎国際大)をそれぞれ開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を開始してから短期間ではあるが、概ね順調に進んでいると判断した。その理由は以下の三点である。 (1) IMMRセンターのメンバーと日本側研究チームのメンバーが協力して研究を進める基礎を構築することができたこと(国際共同研究であるため、研究チーム同士の理解が大切である)。今後も日本側研究チームのメンバーがIMMRセンターを訪問して研究を行うために、メンバー同士の理解が必要だった。ディレクターのKhramtsov教授のみならず、IMMRセンターのメンバーと協力関係を作れたことは今後のために重要な前進であった。 (2)北大と長崎国際大のメンバーが担当する要素技術の開発を、IMMRセンターとの意見交換の後に開始できたこと(イメージング技術の開発に関わる課題であるため、装置およびイメージング計測の要素技術開発が大切である)。IMMRセンター訪問時の限られた時間では要素技術の開発は困難であるため、日本側で開発した技術をIMMRセンターヘ持ち込むことを計画している。そのため、IMMRセンターで実験を行うための必要条件を理解することが、日本側研究チームの研究を進める上で不可欠であった。 (3) IMMRセンターから化合物(分子プローブ)の提供を受け、米国側、日本側で計測データを吟味する共通の土台が得られたこと(共通サンプルによる計測により、互いの状況を共通の尺度で検討することができるようになる)。共通サンプルを持つことにより、予めIMMRセンター訪問時に行う実験の下準備ができることから、この国際共同研究をスムーズに進める条件が整備されたと考えている。 これらのことから、本課題で取組む国際共同研究は概ね順調に開始できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、前年度に開始したマルチファンクショナル・イメージング法の要素技術開発を進める。具体的には、北大において電子スピン共鳴分光の高速なデータ取得装置の開発に取組み、マウスの高感度pHイメージングが実現できるようにする。また、がん細胞のグルコース取込みを検出する実験を進められるようにする。長崎国際大においては、pHイメージングおよび酸素分圧イメージングを実現することを目的とし、オーバーハウザー効果MRI(OMRI)計測装置の構築と、そのためのパルスシーケンスを実現するOMRI分光器のハードウエアおよびソフトウエアの改良を進める。また、ウエストバージニア大学から提供された分子プローブの基礎的な測定を北大および長崎国際大において行い、米国側と日本側研究チームとの間で実験データを比較できるようにする。 日本側で準備するマルチファンクショナル・イメージングの要素技術について、IMMRセンターのKhramtsov教授からのフィードバックを得て、ウエストバージニア大学において実験を進める際に必要な技術的課題を解決する。ウエストバージニア大学で実験を行えるように、技術の移転および現地での装置の改良について検討する。また、日本側研究者は、ウエストバージニア大学を訪問し、現地で行う実験の準備を進める。ウエストバージニア大学でのイメージング実験は、Khramtsov教授とIMMRセンターのメンバーと協力して実施する。 研究成果が得られた際には、日本側研究チームは速やかにIMMRセンターと協力して関連の国際会議および専門誌で研究成果を発表する。
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Causes of Carryover |
初年度は年度後半での研究開始となったため、購入を予定していた増幅器の製造に時間を要し年度内に納入することが困難であった。そのため、増幅器の購入に当てる予算を執行することができなかった。また、それ以外の予算は概ね執行したが、他に小額の未使用額があり次年度使用額が生じた。 翌年度には予定している増幅器が納入されるため、予定通り未使用の予算を執行する。また、その他の小額の未使用額は、翌年度の助成金と合わせて物品費として使用する予定である。
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