2018 Fiscal Year Research-status Report
Japanese-German Joint Research on Real Time Monitoring Technology of Cellular Metabolism in Vitro Model Device
Project/Area Number |
18KK0306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 修 京都大学, 工学研究科, 教授 (20288624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 謙一郎 京都大学, 高等研究院, 准教授 (00588262)
平井 義和 京都大学, 工学研究科, 助教 (40452271)
四竈 泰一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80456152)
山本 暁久 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (90706805)
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Project Period (FY) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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Keywords | 生体外モデルデバイス / 細胞代謝 / リアルタイムモニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
従来困難であったメタボリックシンドロームの生体外モデルとして、微小循環を精密に制御した環境下で肝臓オルガノイドを培養できるBoCを実現し、このBoC内の細胞代謝を分子レベルの化学反応として非侵襲で局所的にリアルタイムに定量化できるAnalytic BoC(ABoC)を世界で初めて構築した後、微小循環環境と細胞代謝の間の因果関係を解明することでABoCが疾病の発生機序の解明に極めて有用・有効であることを実証する。 平井と田畑は生体内の流れ場・圧力場の変動を精密に再現するため、柔軟なシリコーン樹脂材料であるPDMSを使ったコンプライアンス要素の作製技術を検討した。また実際に作製したデバイスに圧力波形のパターンと周波数を制御して印加して波形形成を確認した。 亀井はヒトiPS細胞由来組織の肝臓オルガノイドの培養液中に人為的に高濃度の脂肪を添加しその症状をABoCで再現する疾患モデルの構築に取り組んだ。各組織における代謝活性を評価するために、Dr.MacKinnon、Dr.Badilita(KIT))と連携し、ABoCに搭載するNMRを開発・実証試験を開始した。 四竃は物理環境計測の要素技術として、単一光ファイバ内視鏡とダイヤモンド温度センサの開発し、実験システム構築と動作確認を完了した。2月にKITを訪問し、NMRへの組み込み方法についてDr. Jouda等の共同研究メンバーと実機を見ながら具体的な打合せを行った。 山本は肝臓オルガノイドの自発変形を定量するための実験手法の構築に取り組んだ。Prof. Tanaka (ハイデルベルグ大) を招聘し、オルガノイドの形状揺らぎ全モード解析に関する議論を行った。またProf.Tanakaグループから博士課程学生のMs. Kimmleを招聘し、細胞集団形成ダイナミクスを制御するための新しいゲル基板に関する共同研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究メンバー全員が連携先を訪問し、ドイツ側研究者とのミーティングを行うとともに実験もスタートし、順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平井と田畑はコンプライアンス要素と圧力源により生体内の流れ場・圧力場を正確に再現できるマイクロ流体制御システムの確立を目指す。システムの構造材料に起因するノイズをKIT研究者が保有するNMR装置を使って定量的に評価し、Analytic BoC(A-BoC)の構成や作製プロセスの検討を開始する。 亀井はメタボリックシンドローム疾患モデルの開発に取り組む。細胞に高濃度脂肪酸を添加することによって高脂肪肝細胞を作製するための条件検討に取り組む。肝細胞の代謝の変化を評価するための実験系の検討も行う。KIT研究者とともに、A-BoCに実装できる微小NMRの開発に取り組む。 巽は1細胞における代謝活動の制御と評価や抗生物質の生成と効能の評価を目的として,KITの高精度温度制御技術とマイクロ流体デバイスを用いた誘電泳動力による粒子・細胞の対流輸送制御技術を組み合わせた新技術開発を行う。高い細胞封入液滴収率のデバイスを構築し、スケールアップして生成液滴の整列と同期制御を行い、各液滴の温度制御の精度向上を図る。 四竃はこれまで独立に開発した単一光ファイバ内視鏡とダイヤモンド温度センサを組み合わせた温度計測を実証するとともに、空間,時間,温度の計測分解能を定量化する。さらに、NMR実機への組み込みに向けて、NMR信号測定回路と光ファイバを内蔵するサンプルホルダの設計および設置を容易にするためのレーザー制御光学系のポータブル化を進める。 山本は肝臓オルガノイドの自発変形を定量するプラットフォームを確立する。BOC中での肝臓オルガノイドの長時間変形を顕微鏡下でタイムラプス観察・解析し、活性を評価する。レーザーピンセットを駆使した光トラップ技術によってオルガノイドの力学特性を計測し、自発変形・粘弾性の時間変化を追跡できる実験系を構築する。
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Causes of Carryover |
昨年度末に主なドイツ側連携研究者が3名訪日したため、日本でミーティングを実施し、出張旅費の執行が予想より少なかった。また、研究がスタートしたところであるため試作費用が予想より少なかった。研究の進捗への影響はない。2019年度は試作を進めると共に、出来る限りドイツ側連携研究者を訪問し、共同実験など実質的な連携を開始する予定である。
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Research Products
(3 results)