2021 Fiscal Year Research-status Report
複雑なグローバル関係を紐解くデータ中心科学と国際政治学との分野融合の創出
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18KK0316
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
水野 貴之 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50467057)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 計算社会科学 / 国際政治経済学 / 複雑ネットワーク科学 / グローバリゼーション / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
ビッグデータを解析する数理手法がなくグローバル化による問題が解決できない国際政治学と、基盤的数理手法はあるが、実応用先やそれに必要な拡張が不足している情報学とを繋げるために、海外共同研究者(国際政治学)が、研究代表者(情報学)と対面での議論を重ねることで、基課題「若手研究(A)グローバル・サプライチェーンの健全化に関するデータ中心科学的研究」の成果に関して、政策応用のために必要な(経済主体は,何故その行動を選択したかのという)社会学的な動機付けや因果を推論する。また、意味付けに必要な現象の追加の解明点を整理し、研究代表者が解明に必要な数理手法を複雑ネットワーク科学等により開発する。お互いに分野の国際会議にて、世界初の国際政治学と情報学の融合事例を発表し、両分野の融合を先導することを目的に研究を進めている。2021年度は、東京及び渡航先のニューヨークにおいてコロナ禍が収束した後に、迅速に渡米と共同研究がスタートできるように、研究基盤の強化と、グローバルリスクに関するデータの整備をおこなった。また、グローバルサプライチェーンや株所有ネットワークと、グローバルリスクのデータを結合した。グローバルサプライチェーンや株所有ネットワークに収録されている企業の民族特性を役員の名前から推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年3月からニューヨーク大学への渡航を予定していた。しかしながら、COVID-19の流行により、2021年度は所属機関により米国への渡航が制限されていた。従って、渡米を延期させることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の蔓延による海外渡航の制限が解除され、安全が確保できる状況になり次第、渡米し下記の(1)から(3)の共同研究を開始する計画である。 (1)経済的自由主義(企業の利潤追求)が無意識に悪い企業との間接的な繋がりを生む問題:生産コストが安い人権等を無視する悪い企業に直接的・間接的に繋がることにより、企業が得られた利潤を算出する。取引先の変更を企業の利潤等から推定するモデルを使い、罰則による利潤の低下が、悪い企業との直接的・間接的な繋がりを改善する条件を探索する。 (2)グローバル化が武装勢力と市民を間接的に繋げる「グローバルな社会的責任」問題:ある国では無法者の武装勢力でも合法であり、武装勢力のフロント企業は我々と繋がるグローバル・サプライチェーンの一員である。我々は武装勢力と我々個人との繋がりをデータから明確にすることで、遠き地の他人事と考える人々に紛争解決に向けた規範意識を形成させる。 (3)経済ネットワークを通じた間接的な損益が生む「国際紛争の抑止力」の存在問題:報復関税、Brexit、日中関係にともなう各国の間接的な損益をネットワーク上のカネのランダム拡散モデルから見積り、グローバル時代に合う経済主体間の相互依存の定量化と、経済的損失の回避による紛争や対立の抑止力について、国際関係理論を拡張する。
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