2022 Fiscal Year Research-status Report
複雑なグローバル関係を紐解くデータ中心科学と国際政治学との分野融合の創出
Project/Area Number |
18KK0316
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
水野 貴之 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (50467057)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Keywords | 計算社会科学 / 複雑ネットワーク科学 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
社会現象に影響を与える民族(Ethnicity)や出自(Origin)の多様性と分断を,名字と国籍(Nationality)のビッグデータと機械学習の技術により,実証的に分析するという新たな研究手法を導入した.全世界3億人の企業関係者の名字と国籍とで学習されたRecurrent Neural Network(RNN)は名字-出自分類器として利用が可能である.また,出自をクラスタリングすることで,名字-民族分類器としても利用可能である.この分類器を用いて商取引に与える民族性の影響を実証的に調査する経済学への応用を行った.貿易では同一言語圏でさえ取引量が取引相手との民族の類似性に依存する一方で,国内の企業間取引では,そのような特徴が統計的に有意ではないことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで新型コロナウイルスの度重なる流行に伴い,渡航延期を繰り返していた.2022年4月中旬からのニューヨーク大学への渡航に併せて準備をおこなっていたが,直前のオミクロン株の発生と流行により,再びの延期となった.2022年度の夏以降は,学生指導と代表を務めた委託研究プロジェクトのエフォートにより渡航が困難となった.従って,渡米を延期させることになった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が代表及び分担で進めている研究プロジェクト間で研究計画を調整したのち,渡米し,下記の共同研究を開始する計画である. ・経済ネットワークを通じた間接的な損益が生む「国際紛争の抑止力」の存在問題:報復関税,Brexit,日中関係,ウクライナ紛争による経済の分断にともなう各国の間接的な損益をネットワーク上のカネのランダム拡散モデルから見積り,グローバル時代に合う経済主体間の相互依存の定量化と,経済的損失の回避による紛争や対立の抑止力について,国際関係理論を拡張する.
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