脳機能解析に基づくセマンティック騒音評価システム

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18KK0321
• Research Institution: The Open University of Japan
• Principal Investigator: 川原 靖弘 放送大学, 教養学部, 准教授 (10422403)
• Project Period (FY): 2019 – 2021
• Keywords: 環境音 / セメンティックシステム / 脳機能

Outline of Annual Research Achievements

基課題において、特定の音響特性を持つ連続音刺激の提示により、一次感覚受容と基幹脳機能に変化を引き起こすことを確かめている。この音響特性のパラメータの定義とパラメータの変化に伴う音の生体影響の意味を定義することで、住空間に汎用的に適用できるようなセマンティック騒音評価システムの構築を目的としている。
構築した音響変調及び発音を行うシステムと生体信号解析のためのリアルタイムモニタリング及び出力を可能にするシステムを用いて、基課題を基にした音響特性パラメータを設定した音に対する脳活性を計測し、20人規模の研究協力者において、基課題と同等の再現性のある結果を得た。
この結果をもとに、セマンティック検索技術を応用した騒音評価システムの構築を目的として、周波数特性や定常周期変化を評価するためのパラメータを用いて、基幹脳機能に変化を及ぼす音に類似する環境音の定義をする準備を行った。そのために、50にカテゴライズされている生活音の中から、生活環境下において一定期間持続する環境音の抽出を行い、モバイルレコーダーを用いてカテゴリにおける代表的な環境音のサンプリングを行った。このサンプルと基幹脳機能に変化を及ぼす音との類似性を評価することを可能にするために、音量などの条件を設定し、サンプルの調製を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新たに定義したパラメータを用いた持続音と新たに構築した実験環境を用いて、実験協力者への音の提示による脳活性の変化を調べる実験をする予定であったが、新型コロナパンデミックに関連し人に対する計測を十分に行うことができなかったので、この実験も延期している状況である。また、年度末に予定していた研究成果発表のためのシンポジウムが延期され、成果発表も遅れている。さらに、渡航時に行う予定であったセマンティックシステム構築のための環境音の整理について、渡航が自由にできず、共同研究者とのコミュニケーションが不足している状況である。

Strategy for Future Research Activity

実験協力者への音の提示による脳活性の変化を調べる実験が無理なくできる状況になるまでは、遠隔会議により渡航先の共同研究者と連絡を取り、セマンティックシステム構築のための環境音分析アルゴリズムの生成を進める。渡航が可能になれば、共同研究者とコミュニケーションを密にし、システム構築に着手する。
並行して、研究協力者の生体計測が無理なくできる状況なれば、環境音に対する基幹脳機能変化の計測を行い、作成した環境音分析アルゴリズムとそれが示す意味とアルゴリズムによる環境音の音響パラメータの意味と基幹脳機能変化との整合性を考察する。