2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18KK0321
|
Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
川原 靖弘 放送大学, 教養学部, 准教授 (10422403)
|
Project Period (FY) |
2019 – 2022
|
Keywords | 環境音 / 脳機能 / セメンティックシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
基課題において、特定の音響特性を持つ連続音刺激の提示により、一次感覚受容と基幹脳機能に変化を引き起こすことを確かめている。この音響特性のパラメータの定義とパラメータの変化に伴う音の生体影響の意味を定義することで、住空間に汎用的に適用できるようなセマンティック騒音評価システムの構築を目的としている。この目的において、日常生活に影響を与える環境音を検出することで、周囲の音環境の状況への適合性を評価することが可能となる。本年度において、健常成人を対象に脳波の計測と周波数帯域のパワー及び事象関連電位の変化を解析したところ、周期的に音量を変化させるピンクノイズは、一次聴覚野に到達しやすく、脳深部機能の変化を誘発すること再確認した。このような音響要素を含む日常生活における環境音を検出する方法を提案するために、環境音データセットESC-50で示されたカテゴリに対応する環境音を、短時間発射音を除き、それぞれ10秒間のサンプルとして用意し、自己相関分析により周期的な音量変化を抽出し、音響特性指数のフラットネスとクレスト値によりピンクノイズの有無を判定した。その結果、該当する音素材を含む典型的な環境音として、エアコン、道路補修、洗濯機の音が抽出され、選択したサンプルはすべて機械から発せられる長時間の連続音であることを確認した。今後、これらの環境音の生体影響を評価することで、セマンティックな騒音評価システムに必要な環境音への意味付けを行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特定の音要素の生体影響において、さらに多くの音サンプルを用いて計測を行う予定であったが、新型コロナパンデミックに関連し人に対する計測を十分に行うことができなかったので、この実験を延期している状況である。また、渡航時に行う予定であったセマンティックシステム構築のための環境音の整理について、渡航が自由にできず、共同研究者とのコミュニケーションが不足している状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
典型的な環境音のカテゴリにおいて、生体影響のある音要素が含まれるカテゴリをの抽出を音響解析手法を定義することにより行った。実験協力者への音の提示による脳活性の変化を調べる実験が無理なくできる状況になり次第、特定の音要素の生体影響において、さらに多くの音サンプルを用いて計測を行う予定ある。自由な渡航が可能になれば、共同研究者とコミュニケーションを密にし、システム構築に着手する。これらの項目がある程度進捗し次第、環境音に対する基幹脳機能変化の計測を行い、作成した環境音分析アルゴリズムとそれが示す意味とアルゴリズムによる環境音の音響パラメータの意味と基幹脳機能変化との整合性を考察する。
|