2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18KK0321
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
川原 靖弘 放送大学, 教養学部, 准教授 (10422403)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 環境音 / 脳機能 / セメンティックシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
基課題において、特定の音響特性を持つ連続音刺激の提示により、一次感覚受容と基幹脳機能に変化を引き起こすことを確かめている。この音響特性のパラメータの定義とパラメータの変化に伴う音の生体影響の意味を定義することで、住空間に汎用的に適用できるような脳機能への影響の視点から意味付けされた騒音評価システムにおけるの構築を目的としている。本年度は、周期的に音量を変化するピンクノイズを聴取したときの認知機能の測定、及び、提示した音の音響要素を含む環境音の特定方法の検討を行った。音を聴取したときの認知機能の測定は、健常成人を対象に、2-40Hzにおけるいくつかの周波数で周期的に音量を変化させたピンクノイズを徴収したときの、コンフリクト刺激を含む反応課題の反応速度と脳波事象関連電位の測定を行った。脳波事象関連電位は、周期的に音量を変化するピンクノイズの聴取毎にP50が計測され、基課題と同様に聴覚野で受容されていることは確認できた。コンフリクト刺激を含む反応課題において、周期的に音量変化を繰り返すピンクノイズの聴取により、比較的反応時間が遅くなる現象が観察されたが、特に多くの実験参加者において40Hzで音量が変化するピンクノイズを聴取したとき、大きく反応時間が変化した。さらに、このような音響要素を含む環境音を検出する方法として、環境音データセットESC-50で示されたカテゴリに対応する環境音を、短時間発射音を除き、それぞれ10秒間のサンプルとして用意し、自己相関分析により周期的な音量変化を抽出し、音響特性指数のフラットネスとクレストの値により周期的な音量変動のあるピンクノイズを含む環境音を検出できることを確認した。これらの結果より、環境音を生体影響という視点から意味付けし、環境音評価を行うためのアルゴリズムの提案を行った。今後、さらに結果を整理し、学術会議発表及び学術論文執筆を行う予定である。
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