2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the function of the Old Indo-Aryan reduplicated present
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18KK0325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾園 絢一 東北大学, 文学研究科, 専門研究員 (90613662)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 重複現在現在語幹 / アスペクト / 話法形 |
Outline of Annual Research Achievements |
基課題において進められているdaa「与える」、dhaa「置く」の現在語幹とアオリスト語幹の用例調査に基づき、2月下旬からドイツに渡航し、イランのアヴェスタ語やギリシア語(ホメロス叙事詩)に見られる対応形、アスペクト、動作様態(Aktionsart)などの点から、機能分析を開始した。
重複現在語幹dadaa-, dadhaa- の機能については基課題における用例調査の過程においても一部検討されたが、従来推定されてきた、a(インド・ヨーロッパ祖語 *e)で重複する現在語幹の反復の機能(iterative)やアオリスト語幹との機能上の違いは、ヴェーダ語においては明確には見いだされない。但し、ギリシア語の命令法現在が持続的動作又は反復を表すと解し得る例が見出される。また重複現在語幹daddaa-(daa「与える」)の機能を検討する過程で、解明にはdaa「与える」とpra-yam「差し出す」の補充法(suppletion)や機能分担を徹底的に調査する必要があることが分かった。そこでdaaとpra-yam(現在語幹pra-yaccha-)の補充法について、調査を開始する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大の予防措置に伴う大学閉鎖のため、予定を早めて帰国した。
滞在中にキュンメル教授をはじめとするイェーナ大学の研究者と話し合い、来年度にイェーナ大学でワークショップを開催する方向で話を進めている。開催時期は新型コロナウィルス感染拡大状況や活動制限などの諸事情を考慮しながら慎重に決定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年2月下旬にドイツに渡航し、共同研究を開始したが、新型コロナウィルス感染拡大の予防措置のため、大学が閉鎖となり研究が続けられなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在語幹dadaa-,raraa-,pra-yaccha- の機能的分担の有無を明らかにすることを目指す。その後、iで重複する現在語幹の機能の解明を目指す。新型コロナウィルス対策のため、発表が決まっている印欧語学会(Fachtagung der Indogermanischen Gesellschaft)は3月への延期が決定し、また現在計画中のイェーナ大学と共催の国際ワークショップの開催時期も見通しが立たない。そのため研究期間の延長申請を行い、ワークショップ開催を2021年度へ延期することも検討中である。
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