2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the function of the Old Indo-Aryan reduplicated present
Project/Area Number |
18KK0325
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾園 絢一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (90613662)
|
Project Period (FY) |
2019 – 2021
|
Keywords | 重複現在語幹 / アオリスト語幹 / 古インドアーリヤ語 / インド・イラン語派 |
Outline of Annual Research Achievements |
基課題の調査を基に現在語幹とアオリスト語幹の用法上の差異を中心に重複現在語幹の機能を分析・考察を進めた。特に言及法などにおいては、アスペクト(相)の差異に由来する現在語幹とアオリスト語幹の機能の違いがしばしば見て取れることが知られている。近年この見解に対して、一部の研究者から異論が提出されているが、現在語幹とアオリスト語幹における機能的差異は、特に命令や禁止を表す言及法に明瞭に現れる場合があることを確認した。また命令を表す言及法がアオリスト語幹に限られることは、動作全体を表現するアスペクトに起因する可能性があることを確認した。イランのアヴェスタ語、ギリシア語に残る言及法語形から、命令を表す言及法が既にインド・ヨーロッパ祖語の段階において、命令法の特定の人称と数に取り込まれていた可能性がある。この問題について、2021年3月にスイスのチューリッヒで開催予定であった印欧語学会にて発表予定であったが、学会が中止となった。代わりに同学会が出版を計画している論文集に投稿し、査読中である。また本研究プロジェクト遂行中に付随して得られた成果を論文にまとめ、ドイツの印欧語学分野における代表的な学術誌に投稿し、掲載が決定した。 本研究プロジェクトとドイツのイェーナ大学比較言語学講座との共催で、2021年3月に国際ワークショップをイェーナで開催することを計画していたが、コロナ感染の状況が好転しないため、開催延期中である。最終年度内の開催を目指しているが、未だ見通しを立てることができない状況である。イェーナ大学の研究者と連携し、開催に向けて準備を少しずつ進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内において機能の考察を進めてはいるものの、ドイツに滞在することができないため、計画していた、イェーナ大学共催の国際ワークショップ開催の目途は立っていない。現況では、緊密に連携して研究を行うことが難しい。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き国内において、イランどギリシアなどの資料とも比較しながら、現在語幹とアオリスト語幹における機能の考察を進め、成果をまとめる。最終年度内に国際ワークショップを開催する予定で、イェーナ大学の研究者と連携して準備を進めているが、状況によっては2022年度への延長申請も検討する。
|