2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of the Design Theory of Art and Architecture in the Late Umayyad Period
Project/Area Number |
18KK0327
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
安岡 義文 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (20786496)
|
Project Period (FY) |
2019 – 2022
|
Keywords | デザイン理論 / イスラーム建築 / 後ウマイヤ朝 / プロポーション / スポリア / 柱頭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍という状況を踏まえ、スペインでの海外研究滞在を断念し、これまでの調査で採取したデータの分析と文献調査に重点を置いて研究活動を行った。 後ウマイヤ朝によって造営されたコルドバの大モスク(メスキータ)における建材の調達方法について時代毎の増築事業において変化がみられることを指摘した。具体的には、王朝時代初期に造営したコルドバのメスキータから黄金期のマディーナト・アッ=ザフラー王宮までにわたる150年ほどの間に、寸法もディテールも統一されていないスポリア依存の建造方法から、古代ローマ帝国の代表的な柱の様式であるコリント式とコンポジット式柱頭を基本形とし、独自の装飾文様によって固有の雛形を創造するに至る発展を遂げた。 その他、マディーナト・アッ=ザフラー王宮都市の規模大きさを鑑み、世界の巨大建造物の造営と比較する必要性が国際共同研究者から提唱され、私は日本建築の例を分担し国立ドイツ考古学研究所のコロキアムにて発表を2回行った。そこで、日本のように雛形の存在を前提とする建築文化において、巨大建造物を構想する際にどのような手段を用いて雛形から脱却してきたかについて明らかにした。これは、イスラーム文明のように、統一された様式がなく、王朝ごとに建築様式が創り出され、新たな雛形の創造の過程の中で巨大建造物が生み出されていく建築文化との比較に有益であった。後ウマイヤ朝の建築様式に限って言えば、ローマ帝国様式に準じた柱頭の雛形の創造、そして内部空間の高さを獲得する馬蹄型アーチ、そして各部材間の比例関係を保ったまま水平方向の拡張を基本とする手法が、特質として挙げられることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍により、海外研究滞在の受入先と日本国内の両国の蔓延状況が出張可能な条件を満たしておらず、研究滞在が実施できなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たるため、早々にスペインでの研究滞在を再開し、国際共同研究者と調査、分析、成果発表を行っていく。また、エジプトにおけるファーティマ朝、マムルーク朝時代のイスラーム建築の様式やスポリアの状況なども現地調査を行い、比較分析対象とする。その他、昨年度行った、後ウマイヤ朝の建築文化の在り方を世界の諸建築文化と比較しながらその特質を論じていく分析方法も継続して取り入れていく。
|
Research Products
(4 results)