2020 Fiscal Year Research-status Report
1950年代の放射線被ばく影響をめぐる日本人科学者の発信と国際的な議論
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18KK0330
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 麻伊香 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10749724)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 原爆被害 / 放射線被ばく / 日本人科学者 / IAEA / UNSCEAR / 核実験 / 原子力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新型コロナウイルス感染拡大のため、研究活動が大きく制限された。共同研究者とは定期的にオンラインでミーティングができたが、新型コロナウィルス感染拡大により、共同研究をすすめることは容易ではなかった。 制限が緩和された7月から9月中旬に、国連機関(IAEAおよびUNSCEAR)での資料調査を中心に行った。国際原子力機関(IAEA)のアーカイブズでは、1960年代前半までのIAEAの活動に関する議事録を調査した。IAEAの所蔵する資料に関して、アーカイブズにはビジターが利用できるデータベースがなく、提出した研究計画書に沿ってスタッフが探すという方式であった。結果として、事前に期待していた通りの資料を閲覧できたとは言い難いが、IAEAにおける日本人の活動や、冷戦期の核をめぐる国際関係について考察する上で有益な種々の資料を閲覧することができた。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)では、図書室に所蔵されている1960年代前半までの議事録を調査した。また、オーストリア国立図書館で、1950年代に開催された放射線被ばく影響に関する国際会議の調査と、原爆被害に関する新聞記事や書籍の調査を行った。 7月にはライプツィヒ大学で開催されたワークショップ"Radioactivity in Japan Before, During and After WW II"に招待を受けて参加した。また、ワークショップ参加メンバーとともに、冷戦期にソ連の一大ウラン採掘場となっていたWismutを訪問した。9月にはウィーン大学で原爆文学を研究している香川淑恵氏とともにロベルト・ユンク図書館を訪問し、ザルツブルグ大学図書館のユンクコレクションの調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大により、現地のアーカイブズや図書館が閉鎖されたことで、計画の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、可能であれば再度渡航して現地での資料調査を行う。難しい場合は、現地で調査にあたるリサーチャーを雇用することを検討する。また、得られた結果について、共同研究者と議論する。
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Research Products
(2 results)