2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18KK0333
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 准教授 (00540379)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | 近世 / イギリス / メディア / 法 / 民衆 / 公共圏 / 革命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、17~19世紀初頭に大衆出版を軸に形成される新たな政治文化を長期的に把握する基課題を土台としつつ、これに17世紀の大衆出版物にあらわれる民衆と法、およびモノとしての印刷物という観点を導入して、法や政治に対する民衆の態度をその具体相から総合的に検討するものである。 本年度は新型コロナウィルス感染症流行による影響が軽減し、3年ぶりにイギリスでの在外研究を実現した。滞在中の史資料収集および在英研究者との意見交換をもとにブリテン諸島の「長い革命」における公共圏の形成と民衆の政治国民化に関する長期的な展望をまとめた(『岩波講座世界歴史 第15巻 主権国家と革命』(2023年3月刊)所収論文)。2023年1月には、基盤研究B「公論と暴力-革命の比較研究」(代表:三谷博/東洋文庫)との共催で国際シンポジウムを開催した。同会合は日本を含め5カ国から17名の研究者が登壇し、対面(東京大学)およびZoomのハイブリッド方式にて開催され、活発な意見交換が行われた。そこではアイルランドの例に注目しつつ複合国家ブリテンを構成する諸地域における暴力と公論の展開の非均質性を明らかにする報告を日英両語で行ったが、目下この成果をもとにした英語論集の刊行にむけて原稿を準備中である。 本課題は上記のように一定の成果を得て、本年度が最終年度となるはずだったが、上記会合に合わせて本科研によりイギリスから招へいを予定していた研究者の来日が急遽中止となったことなどから、やむを得ず研究期間の延長を申請した。2023年度には在英研究者との十分な意見交換をへて、最終的な成果をまとめることをめざしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年1月に予定していた海外研究者の来日が先方の事情により直前に中止となり、年度内の再調整が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間が延長され、来年度が最終年度となるため、雑誌論文の投稿を中心に最終成果の公刊をめざす。また、9月にはロンドンで開催される東アジアブリテン史学会(BEACH)に参加し、在英研究者との意見交換を行う。
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