2021 Fiscal Year Research-status Report
Starting a foundation for the paleographical comparison of medieval documents: Japan, China, Korea and Europe
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18KK0335
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
佐藤 雄基 立教大学, 文学部, 教授 (00726573)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 日本中世史 / 国際日本学 / 比較史 / 日本語図書 / 史料の翻訳 / 訳語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はイギリス・ケンブリッジ大学を拠点とした国際共同研究を実施した。コロナ感染拡大の影響により、当初の予定よりも滞在期間は短縮されたが、渡航の翌7月から図書館利用をはじめ様々な制限緩和がなされ、ケンブリッジにおいて実質的に授業が行われる第1学期(Michaelmas Term)・第2学期(Lent Term)に滞在し、様々な交流を行うことができたので、期間短縮による問題は研究の遂行上、実質的には生じなかったと判断される。 ①【中世史料の英訳】滞在中は、共同研究者および同大の大学院生たちとともに、日本史史料を英訳し、注釈をつける共同研究を定期的に開催していた。日本語圏の日本史研究は国際的にみても高い水準にあり、日本学のみならず国際的な人文学・歴史学に貢献できると期待されるが、言語的な障壁によって、その内容が日本国外では充分に知られていない。成果発信や国際交流の基礎にある言葉の問題をクリアするため、史料の訳語という基礎的なレベルから共同研究を行った。その共同研究の成果は現在、国際的な英文ジャーナルへの投稿を目指して成稿中である。また、中世の法制史料である「御成敗式目」の現代語訳・英訳について再検討を行い、関連の論考を発表した。 ②【英国内の史料調査】ケンブリッジ大学図書館、大英図書館をはじめとする史資料所蔵機関において日本史関係史料の調査を行った。それと同時に、日本語コレクションの専門司書の方々に面会し、意見交換をする機会を得た。文学や美術品の分野ではこのような交流は盛んにおこなわれているが、歴史学・歴史資料の分野ではまだまだ十分とは言い難く、国際的な日本学のなかに前近代・歴史研究がどのように位置づくのかを探る上でも有益な交流であったと考える。これらの交流を踏まえて、国際シンポジウムを開催することを計画中である。また、史料紹介論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イギリス滞在中の国際共同研究はおおむねスムーズにおこなわれたが、コロナ感染拡大の影響によって日英間の渡航が制限されていたため、本研究課題で計画をしていた国際シンポジウムをはじめとして、本年度中に実施できなかった企画がのこった。2022年度に期間延長をおこなったので、22年度中に本研究課題を完成させるために、シンポジウムや出版企画などを実現していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
①共同研究者や大学院生たちと進めている日本中世史史料英訳プロジェクトを今後もZOOMなどを利用して進めていき、英訳・注釈を国際的な英文ジャーナルに投稿・掲載することを目指す。日本史史料の英訳を通して、日本語に熟達した日本研究者以外の学者に広く日本史研究の魅力と成果を発信し、日本中世史をめぐる学術的な意見交換や議論の活性化を目指す。 ②海外の図書館に所蔵されている日本関係資料(史料や文献)の調査と情報収集・発信を目指す。自ら滞在中、原本調査を行った史料については史料紹介を日本国内の学会誌に投稿することを目指す。 ③イギリスで日本学に関わる研究者を招聘し、国際的な日本研究においてイギリスや日英関係が果たしてきた役割を明確にすることを目的にした国際ワークショップの開催を目指す。
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Research Products
(5 results)