2019 Fiscal Year Research-status Report
F.J.ビーバー資料群の共有・保存・利活用にむけたデジタル・アーカイヴズ構築
Project/Area Number |
18KK0336
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
吉田 早悠里 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (20726773)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | デジタル・アーカイヴズ / F.J.ビーバー / 史料 / エチオピア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、若手研究A「F.J.ビーバー資料群の救出:20世紀初頭エチオピア無文字社会の歴史解明にむけて」を基課題とし、20世紀初頭のエチオピア南西部カファ地方に関する民族学的研究の第一人者F.J.ビーバーが遺した資料群のデジタル画像と資料詳細をデータベース化した上で、インターネット上で国際的に公開・共有し、諸外国の研究者が学術研究に利用できるようにすることを目的とする。 初年度にあたる2019年度は、2019年9月29日~2020年3月19日にオーストリアに滞在し、オーストリア科学アカデミー・オーストリアデジタル人文学文化遺産センター(2020年1月にデジタル人文学センターから改称)に客員研究員として所属して、F.J.ビーバー資料群のデジタル・アーカイヴズ構築に取り組んだ。具体的には、以下の通りである。 (1) ヒーツィンク区博物館所蔵の民族誌的資料:同館所蔵のF.J.ビーバー資料の全328点の写真撮影を実施し、デジタル化を完了した。また、これらの資料詳細に関するメタデータの準備に取り組んだ。 (2) K.ビーバーの個人蔵資料:絵葉書資料については、デジタル化、メタデータの準備を完了した。そして、ARCHE(A Resource Centre for the HumanitiEs, 人文科学のための資源センター)を利用して、絵葉書494点、未使用絵葉書237点、名刺6点のデジタルデータの公開に取り組んだ。また、写真資料については、1,039点の写真のメタデータの準備に着手した。 (3) F.J.ビーバー資料群をめぐる国際的なアーカイヴズネットワークの構築:F.J.ビーバー資料群はオーストリア国内のみならず、海外にも分散して所蔵されている。将来的に複数の機関が所蔵するF.J.ビーバー資料群を相互参照できるようにするために、国際的なネットワークの構築のひとつとして、エチオピアの国立公文書・図書館との連携関係を確立に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オーストリアでの研究をスムーズに開始し、当初の予定通り、デジタル化を進めることができた。また、2019年度後半からのCOVID-19の感染拡大に伴い、当初の予定を変更してオーストリアでの滞在期間を短縮して日本に帰国したが、2019年度の研究計画に大きな変更はなかった。 ただし、絵葉書資料のデジタルデータの公開にあたっては、絵葉書に印刷されている絵と写真の著作権者を特定する必要があり、それらの作業に今後もしばらく時間がかかることが予想される。そのため、絵葉書資料のデジタルデータの公開は段階的に実施していくことを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、オーストリア科学アカデミー・デジタル人文学文化遺産センターとの共同研究を継続する。2020年度は、ヒーツィンク区博物館所蔵の民族学的資料と、K.ビーバー個人蔵のF.J.ビーバーの写真資料のデジタルデータの公開にむけて、データ準備を進める。また、オーストリアのみならず、エチオピアの国立公文書・図書館をはじめとした機関と連携し、F.J.ビーバー資料群の活用を進めていく。
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