2019 Fiscal Year Research-status Report
国際基準にもとづく性的マイノリティの法政策に関する国際比較研究
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18KK0339
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 洋幸 金沢大学, GS教育系, 准教授 (90468843)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | LGBT / 性的マイノリティ / 国際人権 / 国際比較 / 法政策 / 性的市民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の3段階で実施する。最初に、(1) 性的マイノリティの法政策に関する国際人権基準の活用実践について、オランダ、イギリス、ドイツ、オーストラリアの4か国と日本を比較する。次に、(2) 用いられる国際人権基準の特徴について、非拘束的文書も含めて、規範性の面から再検討するとともに、(3) 性の権利や性的市民権など、性的マイノリティの法政策の理論的基盤を再検討する。本研究の究極目的は、国際人権基準にもとづいて、新たな概念を提示し、その実現の道筋を示すことにある。 2019年度は(1)国際比較と(2)規範性の再検討を中心に研究を遂行した。 (1)国際比較:7月にオランダ・ライデン大学において国際人権基準の現状と課題に関する共同研究を実施し、オランダ国内での活動実践に関する今後の研究の方向性と方法論を確認した。8月からドイツ・デュッセルドルフ大学に拠点をおきつつ、ヨーロッパ諸国の研究者・市民団体と交流を深めながら、国際人権基準の活用実践に関する現状を分析した。当初、ヨーロッパではオランダ・イギリス・ドイツの3カ国を対象とする予定であったが、現在、これ以外の国の研究者・市民団体と協議し、対象国を拡大する準備を進めている。 (2)規範性の再検討:ヨーロッパ諸国の研究者・市民団体と意見交換をする中で、性的マイノリティの国際的連帯における非拘束的文書の意義について新たな知見を得ることができた。またドイツにおいて法律学以外の研究者と意見交換をする中で、法的拘束力という狭い概念では捉えきれない活用実践の意義を再確認した。 なお、年度末からは(3)理論的基盤の再検討に入り、オーストラリアの共同研究者と検討会を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的・方法にしたがって順調に研究が遂行できている。予想していた対象よりも範囲を広げることに意義を見出すことができたため、研究方法を練り直しながら、着実に成果を上げる準備が進められている。ただし、比較対象のひとつであるオーストラリアに2月に移動した後、COVID-19対策のための移動制限が開始されたため、研究計画に若干の遅延が生じている。ただし、大学図書館は通常どおり利用可能なため、現在は文献研究とあわせて、共同研究者とのオンラインでの検討会を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
オーストラリア国内での研究者・市民団体へのヒヤリングを予定していたが、COVID-19対策のための移動・行動制限がかかっているため、現時点ではオンラインでのアクセスに切り替えている。移動・行動制限が解除されるまでは、現在所属している大学の図書館において文献研究を続ける。移動・行動規制の解除後、すみやかに訪問調査や意見交換会等を実施していくため、現在、その準備として、オーストラリアのLGBTに関する人権保障状況の文献研究と関係者へのオンラインでのヒヤリングに取り組んでいる。
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Research Products
(10 results)