2021 Fiscal Year Research-status Report
国際基準にもとづく性的マイノリティの法政策に関する国際比較研究
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18KK0339
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
谷口 洋幸 青山学院大学, 法学部, 教授 (90468843)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | LGBTQ / 性的マイノリティ / 国際人権法 / 性の権利 / 性的市民権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では性的市民権(sexual citizenship)の概念に関する先行研究および最新の研究知見を踏まえつつ、本研究が目指してきた「人間の安全保障(human security)」の概念になぞらえた「性の安全保障(sexual security)」という新たな概念の可能性について検討してきた。 昨年度で共同研究のための渡航は終了したため、本年度は共同研究者とオンラインでやりとりをしながら日本国内で研究を進めてきた。本年度は特に、1年間のドイツ・デュッセルドルフ大学およびオーストラリア・ウロンゴン大学での研究成果や研究交流の内容を整理するとともに、国内における関連分野の研究者との交流を通して、性の権利と性的市民権の2つの概念を包摂していく可能性を追究した。結果、これまでのいわゆる欧米起源の人権保障の批判的検討に関する知見も踏まえつつ、国際的な人権基準が果たすべき役割の多義性(法律への影響、行政施策での活用、市民社会の取り組みなど)を積極的に捉えていく可能性を見出すことができた。「性の安全保障」概念については、人間中心のアプローチという点において有益な視点とはなりうるものの、具体的な法政策や権利保障の実現に向けた検討においては、理念的なアプローチが負の影響をもたらしうる危険性も同時に検証していく必要があることが確認できた。 本年度中に研究成果を公開シンポジウムや共著論文の形式で発表することを予定していたが、出入国に関する各国の状況や発表媒体の選定などが確定していないため、オンラインなどを活用した成果発表に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的・方法にしたがって順調に研究が遂行できている。予定していた結論(「性の安全保障」概念の構築)には再検討が必要な部分が生じてきたものの、むしろ検討を深めることでより発展的な研究成果を得られる期待が大きくなっている。共同研究者とのオンラインでのやりとりが容易になったこともあり、研究成果の具体的な公表に向けた準備も順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をまとめる形で、オンライン形式の公開シンポジウムの開催準備を進めるとともに、共著論文の形式で発表する媒体を選定している。
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Research Products
(6 results)