2021 Fiscal Year Annual Research Report
Looking into Authoritarian Populism from the Perspectives of Sexual Minorities: Southeast Asia and Philippines
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18KK0341
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日下 渉 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80536590)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 性的少数者 / LGBT / フィリピン / 東南アジア / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の助成期間、コロナ禍による渡航先でのロックダウンと海外渡航の制限によって調査と海外共同研究に大きな支障が生じ、計画していた英語論集の出版は実現できなかった。 しかし、基科研での共同研究の成果をもとに議論を重ね、『東南アジアと「LGBT」の政治:性的少数者をめぐって何が争われているか』(明石書店、2001年)を出版することができた。本書では、性的少数者をめぐる政治を、「善き市民」の定義をめぐるヘゲモニー闘争という視点から分析し、各国における差異を理解する視座を提供した。 そして、この和書の一部を英訳して、海外の研究者から意見を頂いたり、国内では東アジアやラテンアメリカにおける性的少数者の政治を研究している方々との連携を深めつつ、本書をさらに発展させた英語版を出版する機会を伺っている。ポピュリズムに関しては、ドゥテルテ大統領に関する単著を出版直前にまでこぎつけた。そこには、本研究によって理解を深めたジェンダー/セクシュアリティの視点も含まれている。 また前掲の和書は、日本語の本であるにもかかわらず、Jafar Suryomenggolon氏によって、International Quarterly for Asian Studies 52(3-4)に英語での書評が掲載された。それによって、英語での出版を求める声が海外からさらに届くようになった。また国内では、本書は5,940円と高額であるもかかわらず、1年を待たずして2刷に入った。多くの当事者、研究者、実務家が関心をもってくれたおかげだと考えている。コロナ禍という制約のなかではあったが、一定の学術的かつ社会的意義は果たせているものと考えられる。
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