2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparative cultural clinical psychology research based on international joint research aiming at elucidation and avoidance of superficial listening in inexperienced therapists
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18KK0349
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 傾聴 / 初学者 / うわすべり / 臨床心理学 / 臨床心理面接コーパス / 感情推移観測システム(EMO system) / 認知科学 / 聴覚・音声学 |
Outline of Annual Research Achievements |
傾聴はあらゆる臨床心理面接の前提であるにも関わらず、初学者のセラピストは、しばしばクライアントの話を十分聴くことができない。このとき大抵学んだばかりの心理療法の諸介入をやみくもに連発する。当然ながらクライアントは的外れな介入を一方的に繰り出すセラピストに辟易し来談を中断してしまう。このように介入に集中するがあまり聴いたつもりで聴けていないという傾聴の「うわすべり」現象は、国内外の初学者に共通する深刻な事態であり、いかに解決可能か。本国際共同研究は、基課題で提案する初学者における傾聴のうわすべりの解明とその回避の手続きを、日本語母語話者以外の臨床心理面接にも発展させることで、傾聴の文化的な共通性と多様性を明らかにし、解決を促進する。2019年度は、2020年4月に開始予定の国際共同研究にむけて、渡航先となるアメリカ合衆国カルフォルニア州ベイエリアの諸機関で心理臨床の実践を行う専門家ならびに米国内外の研究者や臨床家らと複数回打ち合わせ持つことで、研究環境を整備し研究指針を策定することができた。具体的には、臨床心理面接の効果研究や事例研究に関する検討を通じて、傾聴はセラピストやクライアントの関心・背景によらない最も基本的・普遍的な態度であり、さらに文化をふまえた知識がエビデンスに基づき示される必要があることを確認したが、現在まで未検証のままであるため、今後比較文化の観点より検証をすすめる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度は、2020年4月に開始予定の国際共同研究にむけて、渡航先となるアメリカ合衆国カルフォルニア州ベイエリアの諸機関で心理臨床の実践を行う専門家ならびに米国内外の研究者や臨床家らと複数回打ち合わせ持つことで、研究環境を整備し研究指針を策定することができたが、その後新型コロナウィルスによる感染症が世界的に拡大している影響を受けて、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初学者における傾聴のうわすべりの解明とその回避の手続きを、日本語母語話者以外の臨床心理面接にも発展させることで、傾聴の文化的な共通性と多様性を明らかにし、解決を促進する。そのために次のことに取り組む。(1)海外の臨床心理面接コーパスに対し、比較文化臨床心理学の枠組を構築:英語、スペイン語、中国語、ベトナム語を母語話者とするセラピストの臨床心理面接を新たにコーパスとして収録し、傾聴のうわすべりの解明とその回避が実現可能かどうかを確認する。(2)感情推移観測システムを海外の関連研究者と議論・共有:関連研究者を集め、月に2回程度データセッションを実施する。(3)論文共同執筆を計画する:日本から持参する臨床心理面接コーパス及び(1)に対する感情推移観測システム(EMO system)による評価を比較し、成果を発表する。
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