2022 Fiscal Year Research-status Report
Transitional Justice and Reconciliation in the ex-Yugoslav Countries: Quantitative Text Analysis and Opinion Poll
Project/Area Number |
18KK0350
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Keywords | セルビア / コソヴォ / 戦争犯罪 / 裁判 / 国際刑事裁判所 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、これまでに収集したセルビアとボスニアの新聞記事データをもちいた計量テキスト分析の分析作業と論文執筆作業を進めた。その成果としてセルビアに関する論文を国際共著書の一章として公刊した。他方、2022年度にセルビアで実施予定であった戦争犯罪裁判に関するサーベイ実験は、すでに調査票を完成させていたものの、2022年2月末に勃発したウクライナ戦争をうけて、調査票の内容を再検討し、調査を後ろ倒しする必要が生じた。ウクライナ戦争において、国際刑事裁判所(ICC)がロシアの戦争犯罪に対する捜査を開始し、2023年3月にはプーチン大統領に対する逮捕状を発行したため、大多数が強い親ロシア感情を抱いているセルビア市民にとって、ICCに対する態度や評価を問う質問の意味が大きく変わったためである。そのため、2022年度は調査票の再検討・修正作業に取り組み、サーベイ実験は2023年度に実施することとした。これらの研究活動を進めるのと同時に、2021年度に当研究プロジェクトの事業の一環として作成・公開した戦争犯罪裁判データベースの構築において主導的な役割を果たしていただいたボスニアのGoran Simic博士との共同研究を2022年度も継続し、旧ユーゴスラヴィア地域、とくにセルビアとコソヴォにおける戦争犯罪裁判の実態に関する調査を進めた(なお、2022年4月以降は戦争犯罪裁判データベースの管理・運営はすべてGoran Simic博士に完全移管されている)。2023年3月にはボスニアに滞在し、戦争犯罪裁判をとりまく政治過程、政治家やメディアの言説などについて、聞き取り調査と資料収集を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究実績報告で記したように、2022年度に実施予定であったセルビアにおけるサーベイ実験は、ウクライナ戦争の勃発とその後の国際社会の動向(ロシアの戦争犯罪に対する非難・批判、国際刑事裁判所の関与)により、調査票の修正・再検討と、調査の後ろ倒しを余儀なくされた。そのため、本来2022年度で研究期間を終了する予定であったところ、研究期間をさらに1年間再延長申請し、2023年度まで研究を継続することになった。以上の理由から、進捗状況はやや遅れていると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度が本事業の最終年度となるため、本事業の一環として実施予定であるセルビアでのサーベイ実験を確実に完了できるよう、学内での手続き、サンプル収集機関との連絡調整等を緊密に行っていくことが、今後の研究の推進方策としてもっとも重要と考えている。また、計量テキスト分析については、今後さらに分析・論文執筆を進め、査読誌への投稿を進めていく予定である。
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