2021 Fiscal Year Research-status Report
環太平洋島嶼間におけるパイン産業の国際移動をめぐる労働研究的展開
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18KK0352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八尾 祥平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (90630731)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | パイナップル / ハワイ / 台湾 / 沖縄 / 近代化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は年度内に在外研究を開始する見込みでいたものの、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大が収束せず、さらには台湾への入国およびハワイでの図書館も大きな制限のある状況が継続した。このため、昨年度と同様に国内で当初の研究計画に関連する下記の研究に着手した。 (1)戦前から戦後にかけての台湾から沖縄へのパイン産業の国際移動について、国会図書館・沖縄県立図書館・沖縄県公文書館で関連する一次史料の収集・分析を実施した。 (2)在外研究時の受入研究者である中央研究院台湾史研究所の林玉茹研究員(教授に相当)とオンラインでやりとりを行い、研究上のアドバイスを受けた。より具体的には、1930年代から1950年代にかけての台湾・沖縄間のパイン産業の国際移動について、植民地支配の歴史を近代化のきっかけとして賞賛するものでもなく、単なる収奪への批判でもない視座から再構築することについて助言を受けた。近年、台湾での台湾史研究の分野では近代化をめぐる議論はグローバルにみて先端的な議論が活発に行われている。林氏には台湾でこうした優れた研究を行っている研究者との研究会にオンラインで参加させてもらうなどの便宜も図っていただいた。 (3)複数帝国間関係や植民地支配について、日本・台湾だけでなく英語圏も含めた海外での先端の研究潮流を文献調査し、こうした研究の動向のなかでの本研究計画の位置づけや議論のフレームワークを練り直した。 こうした研究の成果は、後述する出版だけでなく、2022年4月に欧州台湾学会での英語報告も行った(報告論題:The Global History of the Relocation of the Pineapple Industry in the 1930s: Focusing on Taiwanese Settlers in Yaeyama District, Okinawa)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も昨年度に引き続き、新型コロナの世界ていな感染拡大が収束せず、そもそもで海外渡航や海外の研究機関での調査自体に大きな制約を受ける状況が続いたため、研究が当初の計画通りに実施できていない。また、2022年4月現在まで、台湾への渡航制限は緩和されておらず、海外渡航については確実なことがわからない状況にある。 こうした状況のなか、国内で可能な限りの史料収集・分析を実施し、その結果を台湾の受入研究者とのオンライン研究会で報告し、研究上のアドバイスを受け、その成果は2022年4月に国際学会で報告することはできた。また、昨年度の国際シンポジウムでの報告や、帝国間関係についての研究動向に関する文献調査の結果も論文として出版できた。 以上から、進捗状況を遅れているから一段階上げて評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、台湾への渡航が可能となった時点で可能な限りすみやかに在外研究を実施できるように準備を進める。その上で、研究を推進するために在外研究ができない場合の研究推進策として下記の2点の方針をとることにする。 (1)オンラインでの受入研究者との共同研究:台湾側の受入研究者と連絡を取り合い、研究についての情報交換・こちらの研究状況の報告・研究上の助言を継続して受けることで、台湾へ渡航できない状況でも研究を少しでも進展させたい。 (2)国内での調査:国内では昨年度に引き続き国会図書館や沖縄県立図書館などの研究機関などでの史料調査とともに、可能であれば、一部、フィールド調査も実施したい。
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