2023 Fiscal Year Research-status Report
Public Finance and Democracy in the Philippines and Malaysia: Executive-Legislative Relations and Colonial Legacies
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18KK0353
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 教授 (60610227)
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Project Period (FY) |
2019 – 2024
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Keywords | フィリピン政治 / マレーシア政治 / 財政 / 国家の能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウィルスのためにアクセスできなかった予算省でのデータ収集を行うことができた。具体的には、1988-2000年のBudget of Expenditure and Sources of Financingのスキャニングをフィリピン予算省図書館にて行い、これをもとにデータベースの基盤を作った(現在修正中)。また、予算省の高官へのインタビューと下院予算委員会の長への聞き取りも行った。 各省のニーズにもとづく予算が、議会内での議員の交渉に基づき大幅に付け替えらえられている(Congressional Insertion)ことが聞き取り、予算・決算の比較で裏付けられた。また、こうした付け替えにもかかわらず、ほとんどの省で支出不足となっていることも明らかになった。その理由は、予算執行のキャパシティ不足による遅延による。執行されなかった予算の算出には、複数年の決算書を比較する必要があり、この整理に時間がかかっている。 こうした知見をふまえて、現在、2021年度に出版した新型コロナウィルスによるパンデミック下での財政分配に関するフィリピンとマレーシアの国家の比較研究にもとづくジャーナル投稿論文を大幅に書き直しているところである。 財政に関する知見を含む論文としては、鈴木絢女「マレーシア:権威主義体制の粘性と改革の可能性」(nippon.comに投稿)および林田(2024年)年に収録された鈴木絢女「東南アジアの権威主義化:未完の国家建設と取り残された自由主義」を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していたアーカイバルワークを再会することができたのが2023年度のことであり、また、予算省高官への聞き取りから、予算書・決算書の解釈を変更する必要があることがわかったのも、2023年度に入ってのことだった。
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Strategy for Future Research Activity |
フィリピンの予算書のデータベース化を進める。 マレーシアとフィリピンの財政と行政府・立法府関係についての共著論文を投稿する。
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