2020 Fiscal Year Research-status Report
紛争後地域における環境管理と伝統的ガバナンスの機能
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18KK0362
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮澤 尚里 名古屋大学, 国際開発研究科, 学振特別研究員(RPD) (80625476)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 環境資源 / 伝統的ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
紛争後社会で環境資源を管理するにあたり、伝統的ガバナンスが効果的に機能するための方策をまとめることが、本研究の目的である。紛争後社会における伝統的ガバナンスに関する法政策と適用事例を検証してきている。環境政策の議論では、「生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標」(2002年採択)においても、「伝統的知識が尊重され、主流化される」ことが目標として定められる等(目標18)、資源管理のために伝統的制度に基づくガバナンスを見直す動きがある。紛争後の状況において、伝統的制度が様々な機能を持っていることを観察し、学術関係者や政府関係者等との議論を重ねてきた。 インドネシアにおいては、伝統的ガバナンスに関する議論の展開の中で、国家法を排他的に適用する法集権主義(legal centralism)に厳格ではなく、その領域内における多元性を寛容に受け入れる法多元主義(legal pluralism)に基づく立ち位置がとられている。この点は独立後にとられた多くの法制度に反映されている。そこで、インドネシアにおいて、フィールド調査を実施し、伝統的ガバナンスをめぐる政策・法制度を分析し、伝統的ガバナンスに関する聞き取り調査を実施することができた。特に、地方自治体、大学、NGO、村落組織、農業組織、住民組織の関係者に対しインタビュー調査を行い、有益な意見を聞き取ることができた。伝統的ガバナンスが効果的に機能するための方法論・アプローチについて分析できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィールド調査を行ってきたが、コロナウィルスの流行により、社会活動が制限され、フィールド調査の実施方法などに、影響が出てた。入国・出国条件が制限されているため、インドネシア以外の国における調査活動は、実質的に困難な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
伝統的ガバナンスの適用と法・政策に関するフィールド調査及びヒアリング調査の結果をさらに分析する。ヒアリング調査と文献調査の結果を照合し、伝統的ガバナンスをめぐる法政策の関連性について分析する。伝統的ガバナンスをとりまく政策・制度について、比較分析してゆき。地方自治体、大学、NGO、村落組織等の関係者に対しインタビュー調査を行い、異なる立場からの見解を聞き取り分析する。研究成果を随時まとめ、国際会議等で発表してゆく。
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