2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization analysis of shipping network in the modern world trade
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18KK0363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木越 義則 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (00708919)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 海運 / 海域 / 東アジア / インド洋 / GIS / データベース / 船舶 / 航路 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に3つの分野にわたり研究活動を実施した。①受け入れ研究機関との調整と渡航準備,②データベースの精緻化,③研究の中途成果の発表である。 ①渡航のための調整と準備:新型コロナウイルス感染症の影響により今年度も受け入れ予定の外国機関での研究を延期せざるを得なかった。そのための調整を受け入れ機関と行うとともに,次年度への補助期間の延長を見越して,渡航及び滞在のための手続きと準備を行った。 ②データベースの精緻化:新聞資料The Timesに所収されている主要な定期船の航行データの入力を完了させたのち,同データを既存のアジア・太平洋地域のデータと統合する作業を行った。また航行ルートの確定の作業を行い,暫定的であるが,1913年における世界海運の構造の一端を見通せるデータベースへと発展させることができた。さらに船舶の登録トン数ベースで計算して,航行した船舶の合計が年間30万総トン以上の航路を選択し,Google Mapを活用して,それをデジタル地図上に描画する作業を行った。 ③研究の中途成果の公表:現時点で収集できたデータから,特に東アジア海域とインド洋海域のデータを抽出し,域内海運の構造ついて両者を相互比較した。両者の比較から,東アジア海域は,インド洋海域に比べて,域内海運の発展の程度が大きいことが示された。その研究の成果は,2021年5月16日に開催された社会経済史学会第90回全国大会(神戸大学)で報告を行った。さらに同報告の内容を充実させるために,データベースの精緻化を継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データベースの整理と暫定的な分析を進めることはできたが,本科研の本来の目的である世界海運のデータベースを完成させるに至っていない。その理由は,新型コロナウイルス感染症の影響により今年度も外国機関での研究を実施することができなかったことである。令和2年度の実施状況報告書でも指摘したように,イギリスでの資料調査ができないことが,研究上の大きな制約になっている。データベースの現況は,アジア・太平洋地域への情報の偏りが大きく,世界規模での事実の確定を妨げている。欧州,大西洋地域の海運のデータを追加するためには,国内及びインターネットを活用した資料収集には限界があった。しかし,次年度4月から外国機関での研究の実施の目途がたち,渡航と滞在のための諸手続きを本年度中に完了させることができた。次年度の研究のための基盤整備ができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は外国機関での研究が実施できることになった。外国機関を拠点にロンドンに集積している海運の資料を収集する。それと並行してデータベースの整理を進める。さらにそれらの作業で得られた知見について,外国機関の研究者と活発な意見交換をすることで,世界経済史の文脈で解釈できる論点を培う。そして研究成果を国際学会での公表に耐えうる水準にまで高めることを目標とする。
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Research Products
(1 results)