2022 Fiscal Year Annual Research Report
Jurisdiction under the UNCLOS Dispute Settlement System
Project/Area Number |
18KK0364
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉田 大 京都大学, 法学研究科, 教授 (60362563)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 国連海洋法条約 / 管轄権 / 国際司法裁判所 / 客観訴訟 / 領有権紛争 / 附属書VII / 仲裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国連海洋法条約(UNCLOS)の紛争解決手続における管轄権法理を広く対象とした実証分析を行った。具体的には、(1)沿岸国訴訟に見られるような条約外の事項に対する判断の可能性とそれによる管轄権拡張の可能性についての分析、(2)附属書VII仲裁が強制的管轄権を有することを根拠とした客観訴訟の可能性、(3)さらに、附属書VII仲裁において管轄権が除外されている場合に、最終的に用いられることになる強制調停の可能性、の3点を分析した。第1に、沿岸国訴訟については、原告国の訴訟戦略により、領有権紛争の存否について裁判所が不可避的に領有権紛争の存在を認定せざるを得ないことを明らかにした。竹島の例でいえば、領有権紛争が存在するという認定を附属書VII仲裁で得ることが可能である。第2に、客観訴訟の可能性についても、判例上は肯定的に捉えられていると解される。もともと、ICJにおいて客観訴訟が認められる以前から、UNCLOS裁判所は客観訴訟に親和的な判断を示しており、これがICJの判断に影響を与えたと考えられる。そのため、具体的な事事例はまだ生じていないものの、将来的にはUNCLOS裁判所が客観訴訟を容認する可能性が高い。第3に、強制調停についても分析を行い、東チモールとオーストラリアの間の海洋境界画定紛争がこれによって解決された。分析の結果、単に法的な側面が判断されただけではなく、非法的要素(地下の鉱物資源の配分比率)が境界画定に大きく影響していることを指摘した。 以上のように、UNCLOS紛争解決手続においては、複合的・並行的に紛争解決手続が進化・発展しており、総合的に見てUNCLOSの規律内容を深化させているということができる。これは、管轄権根拠が未だ脆弱であるICJその他の裁判所と異なり、今後、UNCLOS紛争解決手続が多用される可能性があることを示唆している。
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Research Products
(2 results)