2021 Fiscal Year Research-status Report
Hospitality and Property: The Right of Natural Communication in Early Modern Hispanic World
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18KK0366
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80337873)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 歓待 / 所有権 / 帝国 / ムスリム / ロマ / フィリピン / 中国 / 宣教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、キリスト教君主論を古来のホスピタリティ論の系譜に位置づけて再検討し、異文化間秩序を探究した初期近代スペインの思想家の重要性を、より明確に提示する試みである。目的は第一に、サラマンカ学派と周辺の思想家のカトリック的他者理解を考察すること、第二に、それを古代中世の異人歓待概念からプーフェンドルフなどを経てベンハビブなどに至るホスピタリティ論の文脈に位置づけることにより、初期近代スペインの意義を模索することにある。 具体的な計画としては、5つの外国機関への渡航を3回に分けて行い、研究者たちとの協議、資料収集、成果報告を遂行するとともに、国内滞在期間は、国外での研究成果を講義、セミナー、研究会などで広く発信しながら、学術論文等の執筆に取り組む。 2021年度は、交付申請書ではシドニー大学に客員研究員として所属し、研究の総括と最終成果英語論文を刊行する予定であった。けれども、新型コロナウィルス感染症の流行により、海外での調査がかなわなかった。また、最終成果物としての共著書籍所収論文も、原稿を入稿したものの、出版が遅延している。 このため、代替の形の学術交流、資料収集、成果発表として、①オンラインによる学術協議、②国内利用可能図書館での資料調査(相互貸借制度の活用を含む)、③オンラインによる公開セミナー開催、④研究成果を広く一般社会に還元するための個人ホームページの開設などを行った。この事情に伴い、執行不可能となった渡航経費を、オンライン整備費や感染症対策費等、新たに必要となった経費として使用した。 以上により、外国機関での作業は遂行できなかったが、代替方法により、当初予定していた最終成果物の執筆、および付随する活動は、ほぼ達成することができた。あわせて、こうした活動が評価され、2021年度静岡県立大学学長表彰をいただくことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の流行により、国内外で渡航制限が敷かれたため、予定していた外国機関での業務遂行はかなわなかった。けれども、代替方法により、本年度に遂行予定であった最終成果論文の執筆がほぼ終わり、付随する成果物等も公にできた。 以上により、ほぼ計画どおり進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた研究期間3年間のうち、最後の2年間はコロナ禍のために勤務先から海外滞在が禁じられたため、国内で代替作業を行い、1年間の延長申請を行った。このため来年度は、諸事情が許せば、不足する海外調査を行ったうえで、当初予定の研究総括に入る予定である。 依然として海外渡航が難しい場合には、研究期間の延長も含めて、新たな対応が必要になる可能性もある。
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Research Products
(3 results)