2022 Fiscal Year Research-status Report
Hospitality and Property: The Right of Natural Communication in Early Modern Hispanic World
Project/Area Number |
18KK0366
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松森 奈津子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80337873)
|
Project Period (FY) |
2019 – 2023
|
Keywords | バルトロメ・デ・ラス・カサス / フランシスコ・デ・ビトリア / フランシスコ・スアレス / 布教 / 交易 / 介入 / 自然的交通権 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、キリスト教君主論を古来のホスピタリティ論の系譜に位置づけて再検討し、異文化間秩序を探究した初期近代スペインの思想家の重要性を、より明確に提示する試みである。目的は第一に、サラマンカ学派と周辺の思想家のカトリック的他者理解を考察すること、第二に、それを古代中世の異人歓待概念からプーフェンドルフなどを経てベンハビブなどに至るホスピタリティ論の文脈に位置づけることにより、初期近代スペインの意義を模索することにある。 具体的な計画としては、複数の外国機関への渡航を数度に分けて行い、研究者たちとの協議、資料収集、成果報告を遂行するとともに、国内滞在期間は、国外での研究成果を講義、セミナー、研究会などで広く発信しながら、学術論文等の執筆に取り組む。 2022年度は、新型コロナウィルス感染症の流行により2年間かなわなかった海外渡航が、いくつかの制約の下で再開可能となったため、3年ぶりに外国機関にて研究を行った。当初予定していたシドニー大学、ハーバード大学は相手国の受け入れ制限が残っていたことから渡航を取りやめ、代わりに国立グラナダ大学を拠点として、パリ、アヴィニョン、モンペリエ、ナルボンヌ、バルセロナ、バレンシア、カルタヘナ、コルドバ、セビリャ、アルへシラス、ジブラルタル、ロンドン各地で、古代から現代にいたるホスピタリティをめぐる文献、遺跡、絵画を調査した。 あわせて、当初最終成果物として予定していた共著書籍所収論文も無事刊行された。さらに、これらの研究成果を広く一般社会に還元するために昨年度開設した個人ホームページについても、国外に向けての発信手段とするべく、英語版を追加した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間行えなかった海外調査が実現し、当初予定していた最終成果論文も公刊されたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
海外渡航ができなかった期間のうち、1年分については今年度に行うことができたが、残りの1年分の調査が行えないままになっているため、さらに1年間延長し、2023年度に完了する予定である。すでにカリフォルニア大学バークレー校の客員研究員としての手続きが進んでおり、調査ののち、研究成果を口頭報告などの形で発表することが見込まれる。
|
Research Products
(1 results)