2022 Fiscal Year Research-status Report
Research for complementarity in sustainable management
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18KK0367
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Keywords | サステナビリティ / 情報開示 / アカウンタビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では,環境管理会計システムやエココントロールを実践する企業における外部へのアカウンタビリティと内部の目標設定システムとの間の補完性について明らかにすることを目指している。特に,マテリアルフローコスト会計などの資源生産性管理との関係に着目しながら調査を進めている。 資源生産性管理について,サーキュラーエコノミーに対する投資家の関心が高まっている。その背景として、エレンマッカーサー財団は製品および食品由来の温室効果ガスが全世界の発生量の45%を占めており、気候変動問題に対する影響が非常に大きいことを指摘している。IFRS-S2の公開草案が公表され、気候変動関連の情報開示に対する要求が高まるなかで、CEへの取り組みに関する情報開示は企業のリスクや機会を把握する上でも重要なテーマとなる。 これに対して本研究計画では,企業がサーキュラーエコノミーをどのように気候関連情報と関連させながら情報開示を行なっているのかについて明らかにしてきた。具体的にはTCFD supportersに登録している企業のうち、industryでchemicalに属する企業を対象にテキスト分析および、インタビュー調査を実施する。これによりTCFD提言に基づいた開示全体ではリスク情報が大きなウェイトを占めるがサーキュラーエコノミー関連の情報は機会として開示される傾向にあることが明らかになった。加えて,一部の企業ではサーキュラーエコノミー活動をグループ全体の事業戦略に結びつけるなどビジネス上の戦略として考慮する企業はあるものの,他方で多くの企業でサーキュラーエコノミー活動の環境影響評価は十分に実施されておらずサステナビリティ上の戦略としては限定的にしか考慮されていなかったことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サーキュラーエコノミーに関する情報開示についての状況など,内部のマネジメントと外部へのアカウンタビリティの関係性については理解が進展している。また共同研究者と実施しているマテリアルフローコスト会計を中心とする環境管理会計システムと,環境マネジメントコントロールシステムの関係性についての論文は査読を受けて,修正の段階にある。他にもマテリアルフローコスト会計に関する研究がジャーナルに受理された。 他方で,コロナの影響を受け,共同研究者が在住するドイツのドレスデンへの訪問が実施できずにあり,今年度の夏頃に訪問を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
環境管理会計システムやエココントロールを実践する企業における外部へのアカウンタビリティと内部の目標設定システムとの間の補完性について,これまで行ってきた報告書の分析について,トピックモデリングなどの機械学習の手法を用いて研究を拡張する。 加えて,業種を限定して行ってきた調査をより一般化するために,日経225への登録企業を対象としたサーキュラーエコノミー関連の情報開示の研究を行うことで,これまでの研究を通じて得られた理解を補完することを計画している。
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Research Products
(3 results)