2021 Fiscal Year Research-status Report
Reform of the International Economic Dispute Settlement
Project/Area Number |
18KK0370
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福永 有夏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10326126)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 貿易紛争 / 投資紛争 / WTO紛争処理 / 投資仲裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍のため英国への渡航を当初の予定より延期していたが、2021年9月に渡英した。 渡英後は、所属先のケンブリッジ大学ラウターパクト国際法センターを拠点に、研究をおおむね順調に進めている。 本研究課題は、国際経済紛争処理制度の改革をテーマとし、WTO紛争処理と投資仲裁を研究対象としているが、2021年度は特にWTO紛争処理についての研究を中心に進めた。WTO紛争処理の今後の改革のあり方を議論するためには、これまでWTOが貿易紛争処理の解決にどのように、どの程度貢献してきたかを検証する必要があり、過去の紛争処理事例の実証研究を進めた。研究の成果は2022年5月に書籍として出版される。 また、WTO紛争処理や投資仲裁が被申立国・被申立人となった国の措置の違法性の有無を審理する際に、国の規制権限にどの程度配慮(deference)を払うべきかについての研究を進め、レビュー論文として投稿した。 このほか、ケンブリッジ大学にて貿易紛争を研究する研究者と意見交換をする機会に多数恵まれたことに加え、オンライン等で研究会も開催した。研究協力者のJorge E. Vinuales教授とは、主として環境・持続可能性に関わる紛争の扱いについて意見交換を行った。今後環境関連貿易・投資紛争が増えると予想されており、紛争処理改革においても重要な論点になると考えている。 投資仲裁に関しても評釈を執筆するなど、研究を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
渡英が遅れたため、研究開始が遅れた。 また、渡英後もコロナ関連の移動制限のため、ラウターパクト国際法センターにおける活動の多くがオンラインとなり、意見交換を行うのが容易でなかった。 ただ、規制が徐々に解除され、ラウターパクト国際法センターにおける研究活動も活発化しており、遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、投資仲裁の改革を主たる研究対象とすることを予定している。 また、貿易・投資紛争における環境・持続可能性との関連についても引き続き注目していく。 今年度中に投資仲裁関連のウェビナーでの発表を複数予定しているほか、投資仲裁改革に関連する英語論文執筆も準備している。 また、海外における調査を本格化させ、コロナ禍による遅れを取り戻したいと考えている。 可能であれば、日本への海外研究者の招聘も試みたい。
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