2023 Fiscal Year Annual Research Report
Efficient terahertz emission based on spin caloritronics
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18KK0377
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水口 将輝 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50397759)
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Project Period (FY) |
2019 – 2023
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Keywords | スピンエレクトロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超短パルスレーザーを用いたスピンダイナミクスの研究手法を取り入れることにより、スピンカロリトロニクスを基軸とした高効率テラヘルツ波の発生機能の開拓を目指すことである。具体的には、熱磁気効果を用いて全く新しいテラヘルツ波の発生原理を実証し、その高効率化を図ることを目的とする。今年度は、渡航時の実験を円滑に進めるため、電磁波から異常ネルンスト電圧への変換過程について考察を深めることを目的としてテラヘルツ波の発生用に利用するナノスケールの磁性ナノ超構造における変換効果を詳細に調べた。スパッタリング法により、磁気異方性が薄膜面内で異なる薄膜の作製を行った。続いて、薄膜にマイクロ波を照射し、薄膜に接続した端子間の直流電圧を測定することにより、電磁波吸収発電現象の評価を行った。その結果、照射する電磁波の周波数に依存した電力変換現象が観測され、電磁波から電圧への変換効果が確認された。これらの知見をもとに、実際にベルリン自由大学へ渡航し、共同研究を進めた。磁性薄膜にフェムト秒オーダーの短パルス光を照射することにより、スピン流が発生しテラヘルツ波が発生することを確認した。また、磁性薄膜試料の膜厚や、磁化の大きさ、磁気異方性などの特性に依存して、発生するテラヘルツ波の波長や強度が大きく変化することが明らかになった。これらの結果は、革新的なスピンカロリトロニクス機能の創出への足がかりになるものと考えられる。なお、複数の理由により、実際の渡航期間の合計は180日未満となったが、渡航先の研究者との密な連絡・打ち合わせをとおして、国内での研究活動も並行して進めることにより、おおむね当初の計画通りの研究を遂行することができた。
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Research Products
(8 results)