2021 Fiscal Year Annual Research Report
リーマン幾何の微分同相群による新たな乱流解析手法の創出
Project/Area Number |
18KK0379
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
米田 剛 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30619086)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 微分同相写像群 / Euler方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の影響で、不本意ではあるが、あらかじめ予定していた渡航期間に現地に訪れることが叶わなかった。その代わりに、オンラインによる研究打ち合わせを進め、本研究テーマである「微分同相写像群によるオイラー流の研究」を推し進めることが出来た。 特に、本研究では、「共役点」とArnold's stabilityに対する洞察を推し進めることが出来た。 ここで言う共役点は、おおざっぱにいって、微分同相写像群から生成される無限次元多様体上の測地線の交点を意味する。多様体が例えば二次元球面の場合、その共役点は理解しやすい。北極点から出発する二本の測地点は南極で必ず交差するが、この南極を共役点と言う(ただ、無限次元多様体の場合の共役点はより複雑である)。無限次元多様体上の測地線としてのEuler流に、摂動を加えたもう一つのEuler流を比べた場合、摂動によって乱れている筈の流体粒子(微分同相写像)が、その共役点で再び一致する(より厳密には、かなり近づく)。これは摂動に対するある種のLagrangian安定性を表している(物理的には、摂動として小さな渦を加えたとき、その渦が崩壊しない状態を表す)。一方で、Arnold's stabilityとは、十分小さい摂動を加えた定常流に対するenergy-enstrophyのLyapinov安定性を意味する(物理的には、摂動として小さな渦を加えたとき、その渦がシアによって綺麗に消滅していく状態を表す)。 我々は、もし領域が二次元平面内ののstraight periodic channelか円環か円盤の場合、どのArnold stable flowも共役点を持たないことを示した。 更に、この発展的研究として、滑らかな境界を持つ二次元コンパクトリーマン多様体上のArnold stable flowと共役点の関係の洞察も推し進めることが出来た。
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Research Products
(3 results)